人格障害(パーソナリティ障がい)とは?種類や特徴を解説
2024/08/27/
人格障害(パーソナリティ障がい)は、持続的で不適応な性格特性が社会生活に支障をきたし、深刻な苦痛や機能障害を引き起こす精神的障害です。
世界各国で罹患者が確認されており、長年問題視されています。
本記事では、パーソナリティ障がいの種類や特徴などを紹介します。
Contents
人格障害(パーソナリティ障がい)とは
人格障害(パーソナリティ障がい)とは、個人の反応や行動が一般的な範囲から大きく逸脱し、それが本人に苦痛を与えたり、周囲に困難をもたらす場合に診断される精神障害です。
従来は、人格障害という名称でしたが、APA(アメリカ精神医学会:American Psychiatric Association)が出版しているDSM(精神障害の診断と統計マニュアル:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第4版である「DSM-IV-TR」
パーソナリティ障がいは、「性格が悪い」という意味に捉えられるかもしれませんが、他の精神疾患を引き起こしやすい背景的な障害とされています。
人格障害(パーソナリティ障がい)の種類と特徴
APAは、パーソナリティ障がいを大きく「A群」、「B群」、「C群」という3つのタイプに分類し、そこからさらに11個に細分化しています。
A群
- 妄想性パーソナリティ障がい
- シゾイドパーソナリティ障がい
- 統合失調型パーソナリティ障がい
B群
- 境界性パーソナリティ障がい
- 自己愛性パーソナリティ障がい
- 反社会性パーソナリティ障がい
- 演技性パーソナリティ障がい
C群
- 依存性パーソナリティ障がい
- 強迫性パーソナリティ障がい
- 回避性パーソナリティ障がい
その他
- 特定不能のパーソナリティ障がい
ここからは、パーソナリティ障がいの特徴を種類別に説明します。
妄想性パーソナリティ障がい
妄想性パーソナリティ障がい (Paranoid personality disorder)とは、対人関係や社会生活に深刻な問題を引き起こす精神障害です。
他人の動機を悪意あるものとして解釈し、不信感や疑い深さが極端に強くなることなどが原因とされています。
具体的には、他人が自分を利用したり危害を加えたりすると疑ったり、無害な言動を攻撃的と解釈して怒りを抱くことがあります。
妄想性パーソナリティ障がいには特定の検査はありません。
患者の自覚症状や周囲の証言に基づいて診断されます。
シゾイドパーソナリティ障がい
シゾイドパーソナリティ障がい(Schizoid personality disorder)とは、社会生活に問題が生じる精神障害です。
親密な対人関係を築くことに無関心で、社会や集団の一員であることにも満足しないことが原因とされています。
シゾイドパーソナリティ障がいを持つ人は、孤立した行動を好み、他人との性的関係にもほとんど興味を示しません。
また、喜びを感じる活動も少ない傾向があります。
他人からの称賛や批判に対して無関心で、感情を表に出すことが少ないのも特徴です。
統合失調型パーソナリティ障がい
統合失調型パーソナリティ障がい(Schizotypal personality disorder)とは、非現実的な話題を好み、奇妙な行動や考えに支配され、社会生活に問題が生じる精神障害です。
具体的には、迷信やテレパシーなどの奇妙な信念を強く信じ、普通の出来事を誤って解釈することなどがあります。
また、普通でない知覚体験や抽象的で奇異な話し方をすることも特徴です。
統合失調型パーソナリティ障がいは、遺伝的要因が強く影響しているとされています。
統合失調症について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
境界性パーソナリティ障がい
境界性パーソナリティ障がい(Borderline personality disorder)とは、感情や対人関係が極端に不安定な状態を特徴とする精神障害です。
具体的な症状として、「見捨てられることへの強い不安からくる異常な執着」、「常に虚しさや幸せが不足している感覚」、「感情の起伏が激しい」などがあります。
環境と遺伝の両方が影響している境界性パーソナリティ障がいは、これらの症状により、社会生活に深刻な問題が生じます。
自己愛性パーソナリティ障がい
自己愛性パーソナリティ障がい(Narcissistic personality disorder)とは、自分の重要性を過度に感じ、他者からの称賛を強く求める一方で、他人の気持ちに共感できなくなる精神障害です。
具体的な症状には、業績や才能の誇張、過剰な賛美の要求、特権意識、他者の感情への無関心などがあります。
自己愛性パーソナリティ障がいは、環境と遺伝の両方が影響していると考えられています。
自己愛性パーソナリティ障がいについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
反社会性パーソナリティ障がい
反社会性パーソナリティ障がい(Antisocial personality disorder)とは、他人の権利を無視し、欺く、操作する、規範を守らないなどの行動を繰り返すことで社会生活に問題を引き起こす精神障害です。
主な症状には、嘘をつく、衝動的に行動する、攻撃的な行動を繰り返す、無責任な態度を示すなどがあります。
一般的に反社会性パーソナリティ障がいの症状は、15歳以前から見られ、18歳以降も継続することがあります。
演技性パーソナリティ障がい
演技性パーソナリティ障がい(Histrionic personality disorder)とは、過剰な感情表現や注目を引こうとする行動が過度になる精神障害です。
主な症状として、自分が注目されていないと楽しめない、他人に対して不適切に誘惑的な行動をとる、感情が浅くすぐに変化する、誇張された感情表現などがあります。
人の注目を過剰に集めようとするため、対人関係に問題が生じやすくなります。
依存性パーソナリティ障がい
依存性パーソナリティ障がい(Dependent personality disorder)とは、他人に依存しすぎることで社会生活に支障をきたす精神障害です。
依存性パーソナリティ障がいを持つ人は、自分一人では日常の決断や行動ができず、他人に面倒を見てもらおうと強く求めます。
また、自分の意見を表明することが難しく、他人の支えを得るために不快なことまで進んで行います。
強迫性パーソナリティ障がい
強迫性パーソナリティ障がい(Obsessive-compulsive personality disorder)とは、秩序や完璧主義に過度にこだわりすぎることで、柔軟性や効率性を失い、社会生活に支障をきたす精神障害です。
規則や予定表に固執しすぎるため、活動の主要な目的を見失い、仕事や人間関係に悪影響を及ぼします。
強迫性障害は、不合理な強迫観念に対する行動(強迫行為)が見られますが、強迫性パーソナリティ障がいは、理論に基づいた完全主義的なこだわりと自己基準を強調します。
回避性パーソナリティ障がい
回避性パーソナリティ障がい(Avoidant personality disorder)とは、自己評価が低く、失敗や批判を過度に恐れることで、社会生活に支障をきたす精神的な障害です。
自分が何をやってもうまくいかないと感じ、他人の批判や拒絶を恐れて対人関係を避けてしまいます。
こうした状態から、引きこもりがちになります。
特定不能のパーソナリティ障がい
特定不能のパーソナリティ障がい(Personality disorder not otherwise specified)は、複数のパーソナリティ障がいの特徴を持ち、臨床的に著しい苦痛や機能障害を引き起こしている状態です。
DSM-IVでは、特定不能のパーソナリティ障がいと診断されるのは、患者が2つ以上のパーソナリティ障がいの特徴を持ち、個別の診断基準には満たないが、重度の症状を示す場合とされています。
また、WHO(世界保健機関:World Health Organization)が作成した「ICD(国際疾病分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)-10」では、F60.9として分類されています。
人格障害(パーソナリティ障がい)の治療方法
ここからは、代表的なパーソナリティ障がいの治療法を2つ紹介します。
- 精神療法
- 薬物療法
精神療法
精神療法は、臨床心理士のカウンセリングなどを用いた治療方法です。
自分の問題にじっくり向き合い、過去の葛藤や認知の偏りを少しずつ解消していきます。
精神療法に副作用はありませんが、治療は数年から十年以上かかることもあります。
薬物療法
パーソナリティ障害の治療では、精神療法が主要な治療方法ですが、薬物療法も有効です。
薬物療法では、抑うつや不安、不眠といった合併症を改善し、衝動性や攻撃性を抑えます。
即効性は期待できますが、副作用や依存のリスクがあるため、担当医師との相談に基づいた慎重な投与が必要です。
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今回は、パーソナリティ障がいの種類や特徴などを紹介しました。
多様性に寛容になりつつある現代では、精神障がいに対する偏見が大きく変化しています。
しかし、未だに精神障害の知識が広まっていないため、パーソナリティ障がいを持つ方が不自由を感じる機会も少なくないでしょう。
本記事が、パーソナリティ障がい者がよりよい生活を送ることに繋がれば幸いです。
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