演技性パーソナリティ障がいとは?
2024/08/27/
カプラン臨床精神医学テキスト DSM-5診断基準の臨床への展開 第3版によると、演技性パーソナリティ障がいの有病率は、1〜3%程度とされています。
年齢が上がるごとに症状は治まりますが、日本でも確認される精神障がいとして問題視されています。
本記事では、そんな演技性パーソナリティ障がいの原因や治療方法などを紹介します。
Contents
演技性パーソナリティ障がいとは
演技性パーソナリティ障がいとは、過度な情動性と他者の注目を引く行動が特徴的な精神障がいです。
一般的に、演技性パーソナリティ障がい者は、自分に注目を集めるために、過剰に誘惑的な服装や挑発的な行動を取る傾向があります。
話題の中心でないと不満を感じたり、泣いたり非難したりすることで他人の関心を引こうとするのも特徴のひとつです。
演技性パーソナリティ障がいは、成人期早期に発症し、加齢とともに症状が軽減する傾向もあります。
また、他者の注目を引くための虚言癖や作り話、誇張した言動だけでなく、他人の意見に影響されやすく騙されやすい一面もあります。
さらに、この障がいは身体症状症や転換性障害、うつ病と併存することが多く、他のパーソナリティ障がいと同時に発症することも少なくありません。
演技性パーソナリティ障がいの原因
演技性パーソナリティ障がいは、自我を守るための防衛機制が深く関連していると考えられています。
「抑圧」と「否認」という2つの防衛機制は、精神面で重要な役割を果たします。
抑圧とは、望ましくない欲求や感情を無意識に押し込め、表面に出さないようにする働きです。
抑圧された自我は、身体症状として現れることがあります。
そのため、自我を効果的に抑圧するためには、無意識に閉じ込めた自我に似た刺激を無視する「否認」も欠かせません。
演技性パーソナリティ障がい者は、自分にとって都合の良い部分しか受け入れず、他の人の気を引くために、自身のことを誇張する傾向があります。
これにより、自信がなく弱い自分を見ないようにし、現実で起こっている嫌な側面から目をそらすために自らを防衛しています。
演技性パーソナリティ障がいの治療方法
近年は、世界各国で演技性パーソナリティ障がいの研究が進められています。
演技性パーソナリティ障がいの解明にともない、さまざまな治療方法も確立されました。
ここからは、代表的な演技性パーソナリティ障がいの治療方法を3つ紹介します。
- 精神療法
- 薬物療法
- TMS治療
精神療法
精神療法は、長期化しやすい治療方法ですが、副作用がない安全な方法として長年精神障害の治療に利用されてきました。
演技性パーソナリティ障がいの治療には、「支持的精神療法」、「認知行動療法」、「集団精神療法」といった精神療法が用いられます。
支持的精神療法とは、患者が感じる苦痛やつらさに寄り添い、医師が話を聞くことで安心感を提供する治療方法です。
支持的精神療法により演技性パーソナリティ障がい者は、自分が理解され、支えられているという感覚を得ます。
認知行動療法とは、演技性パーソナリティ障がい者が持つ認知の歪みを修正し、適切な行動を学ぶことを目指す治療法です。
注目を集めるために過剰な行動を取る傾向がある演技性パーソナリティ障がい者には、演技性パーソナリティ障がい特有の認知的問題を認知行動療法で治療することが有効です。
また、集団精神療法では、他の患者との交流を通じて自分の問題を認識し、改善するためのきっかけを得られます。
集団精神療法で得られる同じ悩みを抱える他者との共有体験は、孤独感の軽減にもつながり、心理的なサポートとして大きな役割を果たします。
薬物療法
演技性パーソナリティ障がいの治療では、抗うつ薬や抗精神病薬などの薬物が使用されることがあります。
とくに、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)は、感情の不安定さや抑うつ症状を緩和するためによく処方されます。
SSRIは、セロトニンの再吸収を抑えることで、神経伝達物質のバランスを整え、気分を安定させることが可能です。
また、SNRI(セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)やノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬も、同様の目的で使用される薬物です。
さらに、非定型抗精神病薬は、極端な行動や感情の変動を抑えるために利用されます。
薬物療法は、患者の症状や状態に応じて組み合わせて使用されます。
薬物療法を利用する場合は、主治医と入念に相談しましょう。
TMS治療
経頭蓋磁気刺激療法(TMS治療)は、薬物療法に代わる新しい治療法として注目されています。
TMS治療とは、脳の特定部位に磁気刺激を与えることで神経細胞の活動を調節し、脳の神経ネットワークのバランスを改善する治療方法です。
脳機能が低下した場合に効果が期待でき、副作用が少なく、治療期間が短いのが特徴です。
TMS治療は、投薬が不要であり、抗うつ薬や他の治療法が効果を示さない場合にも使用されます。
治療期間が短く、患者の身体への負担が少ないため、症状の早期改善が期待されます。
欧米では広く普及しており、日本でも一部の医療機関で導入されています。
演技性パーソナリティ障がい者と接するときのポイント
演技性パーソナリティ障がい者と接する機会があったり、身近な人が演技性パーソナリティ障がいを罹患したという方も少なくないでしょう。
ここからは、演技性パーソナリティ障がい者と接するときのポイントを3つ紹介します。
- 演技性パーソナリティ障がいへの理解を深める
- お互いの認識を併せる
- 過度に気遣わない
演技性パーソナリティ障がい以外の精神障がい者との接し方について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
精神障がい者への接し方と上手な関わり方 | 障がい者の友活・恋活・婚活アプリ「IRODORI」
演技性パーソナリティ障がいへの理解を深める
演技性パーソナリティ障がい者の特徴的な行動を理解し、適切な対応を心がけることは、演技性パーソナリティ障がい者との関係構築に有効です。
演技性パーソナリティ障がい者は、しばしば注目を引こうと過剰な行動を取ることがあります。
基本的にそのような言動の背後には、自己評価の不安や承認欲求が潜んでいます。
演技性パーソナリティ障がいへの理解を深めることで、感情的な反応を避け、冷静で一貫した対応が可能になるでしょう。
お互いの認識を併せる
演技性パーソナリティ障がい者と接する際には、お互いの認識を併せましょう。
演技性パーソナリティ障がいの度合いは、人によって異なります。
相手の過度な感情表現や注意を引こうとする行動が、障がいの特性であることを理解しつつ、個人に合わせて適切に対応してください。
冷静に状況を見極めつつ、共感を示すことで信頼関係を築きやすくなります。
演技性パーソナリティ障がいのことを理解してくれる人と知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
過度に気遣わない
演技性パーソナリティ障がい者の感情表現が激しい場合でも、その背景にある障がいの特性を理解し、冷静に対応しましょう。
過度な気遣いや過剰な反応は、相手の不安や依存を助長する可能性があります。
そのため、適度な距離感を保ちつつ、程よく共感の意思を示しましょう。
また、相手に振り回されず、自分の感情や行動をコントロールすることも、安定した関係を築くために欠かせません。
演技性パーソナリティ障がいのことを気にせずに友人やパートナーを探したい方は、こちらのコラムをご覧ください。
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今回は、演技性パーソナリティ障がいの原因や治療方法などを紹介しました。
演技性パーソナリティ障がいなどの精神障がいへの理解を深めることは、早期発見・治療につながります。
信頼できる情報源を利用し、正しい知識を身につけましょう。
そして、少しでも異変を感じたら、すぐに専門家へ相談してください。
また、演技性パーソナリティ障がい者の中には、自身の障がいが原因で内向的になっている方も少なくないでしょう。
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