うつ病とうつ状態の違いとは?
2024/05/12/
皆さんは、うつ病とうつ状態の違いをご存知ですか?
近年は、インターネットの普及や近所付き合いの希薄化などが原因でストレスを抱え込んでいる人が増えており、うつ病などの精神障害を罹患している人が毎年確認されています。
本記事では、うつ病とうつ状態の違いについて解説します。
精神の不調や精神障害に関する偏見や誤解を解消し、早期回復や適切な支援ができるようになりましょう。
Contents
うつ病とは
精神保健研究所では、うつ病について「精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態」と定義しています。
うつ病に罹患すると、以下のような症状が長期的に継続します。
・憂鬱な気分が1日中続く
・何をしても楽しくない
・倦怠感や疲労感が溜まる
・イライラする
・自己肯定感が下がる
・集中力がなくなる
・死にたい、消えたいと思う
うつ病は、心の病気という印象が強いかもしれませんが、実は脳にも関係がある精神障害です。
精神を安定させる「セロトニン」や、興奮・恐怖を感じさせる「ノルアドレナリン」、やる気を出させる「ドパミン」などの神経伝達物質が極端に減少すると罹患します。
また、熱性痙攣や脳炎などの原因となる「HHV-6(ヒトヘルペスウイルス6:Human herpesvirus 6)」によって脳神経細胞の一部が細胞死することで罹患するという学説もあります。
うつ状態との違い
うつ状態とは、体調不良やショックなできごとなどが要因で憂鬱な状態になることです。
うつ状態の特徴は、うつ病と大差ありません。
決定的な違いは、「期間」です。
うつ状態は、程度に差があるものの数日程度で回復します。
しかし、うつ病は数カ月、数年というように長期的に不調が継続します。
明確な基準はありませんが、2週間程度を目安としてうつ状態かうつ病かを判断してください。
うつ病の治療方法
うつ状態は、ほとんどの場合、時間の経過とともに回復します。
しかし、うつ病は時間が経過しても治るとは限りません。
日本うつ病学会などをはじめとしたさまざまな専門機関で、うつ病に関する研究が進められています。
研究の中で、うつ病の治療方法として以下のような手法が提唱されています。
1.薬物療法
2.精神治療法
3.その他の治療法
ここからは、うつ病の治療方法として提唱されている3つの治療法について解説します。
薬物療法
薬物療法とは、抗うつ剤や精神安定剤などの薬物を利用する治療方法です。
薬物療法で使用する薬物には、以下のようなものがあります。
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)
・ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬
・複素環系抗うつ薬
・MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬:Monoamine oxidase inhibitor)
・メラトニン作動性抗うつ薬
薬物治療法は、即効性がありません。
薬物を服用してもすぐに効果が表れませんが、継続的に服薬しましょう。
また、薬物によっては副作用があるため、服用頻度などは主治医と相談してください。
精神治療法
うつ病の治療としてイメージするのは、カウンセリングなどの精神治療法でしょう。
精神治療法とは、カウンセリングなどを通じてうつ病になった原因や背景を基に治療を進める手法です。
薬物療法とは異なり、身体への負荷が少ない治療方法として多くの専門家が利用しています。
精神治療法には、専門家が罹患者の話を聞き、共感したりアドバイスをしたりする「支持的精神療法」や罹患者の課題や長所に基づき治療方針を設計する「CBT(認知行動療法:Cognitive Behavior Therapy)」、対人関係に対する認知を修正する「対人関係療法」などがあります。
主治医との相性が重要な治療方法なので、罹患者に合った専門機関を利用しましょう。
その他の治療方法
医療技術の進歩により、うつ病の治療方法も多様化しています。
薬物治療や精神治療以外にも太陽光と同等の光を当てて生活リズムを整える「高照度光療法」、電気を流して脳機能を正常化させる「ECT(修正型電気けいれん療法:ElectroConvulsive Therapy)」や「TMS(経頭蓋磁気刺激法:Transcranial Magnetic Stimulation)」などがあります。
なお、先進医療や自由診療は、高額療養費制度や一部保険の対象外となる治療です。
高額療養費制度や保険が適応外だと、高額な費用が発生する可能性があります。
新しい治療方法を試す場合は、主治医や保険会社に相談しましょう。
うつ病やうつ状態の治療で悩んだら
セカンドオピニオンを検討しよう
セカンドオピニオンとは、治療を担当している主治医とは別の専門家に治療状況や治療方法などを相談することです。
主治医が提示した診断結果や治療方法に納得できなかったり、治療について心配や悩みが生じたりした方におすすめです。
セカンドオピニオンを利用すると、症状に対する理解が深まったり、治療方法に置ける選択の幅が広がったりします。
また、厚生労働省が管轄している「こころの耳」や各都道府県または政令指定都市に設置されている「精神保健福祉センター」などの公的機関の利用も検討してみてください。
パートナーにはうつ病やうつ状態について
早めに打ち明けよう
「パートナーに心配をかけたくない。」
「うつ病やうつ状態であることを知られて嫌われたらどうしよう。」
このような悩みを抱えている罹患者も少なくないでしょう。
うつ病やうつ状態のことを隠していると、症状が出た際、パートナーに誤解を与えてしまいます。
長期的に良好な関係を維持するためにも、うつ病やうつ状態ははやめに打ち明けるのが理想的です。
少しでもうつ病やうつ状態の疑いがあればパートナーに相談しましょう。
パートナーにうつ病やうつ状態のことを理解してもらうためには、以下の3つに注意してください。
1.パートナーに頼りすぎない
2.やってほしいことを具体的に提示する
3.パートナーへの感謝を忘れない
パートナーに頼りすぎない
パートナーへの負担が大きすぎると、ストレスを溜め込ませてしまう可能性があります。
また、過度に気を遣わせてしまうと罪悪感を感じやすくなります。
症状が軽いときや、問題なく対応できることは進んで担当しましょう。
やってほしいことを具体的に提示する
パートナーに配慮を求めるときは、具体的にどのように行動してほしいかを明確にしましょう。
やるべきことが決まっていると、パートナーもサポートしやすくなります。
なお、パートナーにも考えややるべきことがあります。
お互いが納得できるように話し合いを通じて、上手く帳尻を合わせましょう。
パートナーへの感謝を忘れない
「うつ病やうつ状態」だからといって自分のことを特別な存在だと誤認してはいけません。
パートナーが配慮してくれていることに対して常に感謝を忘れないようにしましょう。
感謝を言葉にして伝えると、パートナーも喜びます。
直接伝えるのは恥ずかしいという方は、手紙やチャットなどで伝えてみてください。
障害を理解してくれる方と知り合いたいときには「IRODORI」がおすすめ
自分自身やパートナーの精神状態を理解することは、適切なサポートや治療を提供するために欠かせません。
普段のコミュニケーションを通じて少しの変化にも気付けるようにしましょう。
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