自己愛性パーソナリティ障がいとは?特徴や恋愛傾向を解説
2024/07/27/
自己愛性パーソナリティ障がい(NPD:Narcissistic Personality Disorder)とは、精神障がいのひとつです。MSDマニュアルのミッションによると、アメリカの一般集団では、最大6.2%が罹患したことがあるとされています。
皆さんは、自己愛性パーソナリティ障がいがどのような精神障がいかご存知でしょうか。
本記事では、自己愛性パーソナリティ障がいの特徴や恋愛傾向などについて解説します。
Contents
自己愛性パーソナリティ障がいとは
自己愛性パーソナリティ障がい(NPD:Narcissistic Personality Disorder)とは、誇大的な自己像、賞賛への渇望、共感性の欠如などの症状があらわれる精神障がいです。アメリカ精神医学会が出版した精神疾患の診断基準・分類マニュアル「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の第5版である「DSM-5」でクラスターBに分類されています。
自己愛性パーソナリティ障がいは、男性に多く見られ、青年期から成人期初期にかけて発症します。
自己愛性パーソナリティ障がいの特徴
自己愛性パーソナリティ障がいの徴候は、複数あります。一例として、患者は自己の能力を過大評価し、自分が特別であると信じ、他者の業績を過小評価することなどがあります。
また、賞賛や特別な扱いを強く求め、他者の評価に依存するため自尊心が非常に脆弱です。批判や失敗に対して敏感で、怒りや軽蔑で反応することがあります。自分の思い通りに他人を操作しようとする傾向も見られ、現実を否定し、自己中心的な行動を取ります。
自己愛性パーソナリティ障がいの症状は、個人差があります。
自己愛性パーソナリティ障がいの要因
自己愛性パーソナリティ障がいの発症要因は、多岐にわたります。適切に治療するためには、それぞれの発症要因に基づいた治療計画を策定しなければなりません。
ここからは、自己愛性パーソナリティ障がいの代表的な発症要因を4つ紹介します。
- 心理的要因
- 環境的要因
- 遺伝的要因
- 社会文化的要因
心理的要因
自己愛性パーソナリティ障がいには、脆弱な自尊心が関与しています。
脆弱な自尊心は、幼少期の心理的外傷体験や不適切な養育環境によって形成されると考えられます。自己愛性パーソナリティ障がい罹患者は、自己愛的防衛機制を用いて、自分の脆弱な自尊心を保護しようとするでしょう。この防衛機制には、自分を過大評価し他者を過小評価することや、賞賛を強く求める行動なども含まれます。
環境的要因
自己愛性パーソナリティ障がいの発症には、幼少期の環境が大きく影響します。
過度に甘やかされる、または逆に無視されるなどの養育環境が、自己愛性パーソナリティ障がいのリスクを高めるとされています。また、幼少期の虐待や精神的なトラウマ体験も、自己愛性パーソナリティ障がいの発症に関連しているでしょう。これらの環境的要因が、自己愛的な特性や対人関係の問題を形成する可能性があります。
遺伝的要因
自己愛性パーソナリティ障がいには、遺伝的要因が関与していると考えられています。
大阪メンタルクリニックによると、一卵性双生児における自己愛性パーソナリティ障がいの一致率が二卵性双生児よりも高いとされています。この研究結果は、自己愛性パーソナリティ障がいの発症に遺伝的要因が関わっていることを示唆する証拠となるでしょう。
社会文化的要因
自己愛性パーソナリティ障がいの発症には、社会文化的要因も関与しています。
個人主義的な価値観が重視される社会では、自己中心的な行動や自己顕示欲が奨励されるため、自己愛性パーソナリティ障がいの発症リスクが高まります。また、SNSの普及により、他者からの賞賛や注目を求める行動が容易になり、自己顕示欲が強化されることも自己愛性パーソナリティ障がいの発症に関連しているでしょう。
このような結果から、自己愛性パーソナリティ障がいの症状が社会的に増加する可能性があると考えられます。
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者の恋愛傾向
自己愛性パーソナリティ障がいの罹患者は、恋愛において自己中心的かつ支配的な態度を示す傾向があります。
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者は、自己評価が過大です。恋愛関係においても自分が特別であると感じるために相手からの賞賛を求めるでしょう。そのため、パートナーを自己の延長として扱い、相手のニーズや感情に対する共感が欠如しています。
また、自己愛性パーソナリティ障がい罹患者は、恋愛関係を通じて自己愛的な充足を追求し、相手を理想化して高い期待を寄せます。一方で、失望や批判を受けると過度に反応し、怒りや軽蔑を示すでしょう。また、相手を操作したり支配したりする傾向があります。自分の価値を高めるためにパートナーを利用することも少なくありません。
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者の恋愛傾向は、関係の不安定さや対立を招くことが多く、長期的な健全な関係を維持するのが困難となります。
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者が恋愛で意識すべきこと
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者が恋愛で成功するためには、まず自分の症状を理解しましょう。自己理解を深め、自分の特性やニーズを把握することで、パートナーに対して明確に伝えられます。
また、障がいのことをパートナーに打ち明けることも重要です。オープンに話すことで、信頼関係が深まり、適切なサポートが受けられます。
さらに、信頼できる友人やカウンセラーなど、第三者の意見を取り入れることで、客観的な視点からのアドバイスや新たな解決策を得られます。
自己愛性パーソナリティ障がいを自分だけで抱え込まず、パートナーや周りの人と共に乗り越えることが恋愛を成功へ導くでしょう。
自己愛性パーソナリティ障がい以外の精神障がい者が恋愛する際のポイントについて知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
精神障がい者は恋愛できる?恋愛する際のポイントや結婚率は? | 障がい者の友活・恋活・婚活アプリ「IRODORI」
自己愛性パーソナリティ障がいの治療法
自己愛性パーソナリティ障がいは、さまざまな治療法が発見されています。それぞれの症状に適した治療法を選ぶことで、効果的な罹患が見込めるでしょう。
ここからは、代表的な自己愛性パーソナリティ障がいの治療法を4つ紹介します。
- 精神力動的療法
- 認知行動療法
- 薬物療法
- スキーマ療法
精神力動的療法
自己愛性パーソナリティ障がいの治療には、精神力動的療法が有効です。
精神力動的療法は、患者の幼少期の経験や無意識的な葛藤に焦点を当て、自己愛的防衛機制、自尊心の脆弱さ、対象関係の問題を理解する治療法です。治療関係を通じて患者の自己理解を深め、感情調整能力を向上させることを目指します。
また、個人精神療法や集団療法も用いられ、治療の意欲がある場合に効果が高まります。
認知行動療法
自己愛性パーソナリティ障がいの治療における認知行動療法は、患者の非適応的な思考パターンや行動を修正することを目指します。
具体的には、患者の自己に関する非合理的な信念や対人関係における非合理的な行動を同定し、修正することです。また、感情調整スキルや問題解決スキルの向上を図ります。
自己愛性パーソナリティ障がい罹患者が自身の思考の歪みを認識し、それが問題にどのように結びついているかを理解することで、対人関係の改善や症状の軽減が期待されます。
薬物療法
自己愛性パーソナリティ障がいの薬物療法は、自己愛性パーソナリティ障がい自体に対する効果が限定的です。その一方で、併存する症状の治療に有効な治療法とされています。
具体的には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)などの抗うつ薬は、自己愛性パーソナリティ障がいと併存するうつ病に効果的です。また、リチウムやバルプロ酸などの気分安定薬は感情調整の問題に、非定型抗精神病薬は妄想性障害や境界性パーソナリティ障がいに効果があります。
心理療法と併用することで、より効果的な治療が期待できます。一方で、治療には長期間を要するため、患者との治療関係の構築が重要です。
スキーマ療法
自己愛性パーソナリティ障がいの治療におけるスキーマ療法は、幼少期に形成された非適応的な認知・感情・行動パターンである早期不適応スキーマに焦点を当てた治療法です。治療では、患者の早期不適応スキーマを同定し、その起源を理解し、修正を試みます。
また、適応的なコーピングスキルを向上させることを目指します。スキーマ療法は、認知行動療法をベースにしつつ、アタッチメント理論やゲシュタルト療法などの要素を取り入れており、症状の改善や対人関係の改善が期待できるでしょう。
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今回は、自己愛性パーソナリティ障がいの特徴や恋愛傾向などについて解説しました。
自己愛性パーソナリティ障がいについて、罹患者だけでなくパートナーも理解を深めることは、恋愛の成功につながります。自分の障がいを受け入れて恋活・婚活してみましょう。
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