境界性パーソナリティ障がいとは?
2024/08/27/
世界中では、うつ病やパニック障がいなどの精神障がいが問題視されています。
境界性パーソナリティ障がいも精神障がいのひとつです。
本記事では、境界性パーソナリティ障がいの特徴や原因などを紹介します。
最後まで読んでいただくと、境界性パーソナリティ障がいへの理解が深まります。
Contents
境界性パーソナリティ障がいとは
境界性パーソナリティ障がいは、感情や対人関係のコントロールが極端に不安定であり、社会生活に深刻な問題を引き起こす精神障がいです。
大多数と行動を共にすることに対して生きづらさを感じるパーソナリティ障がいのB群に分類されます。
境界性パーソナリティ障がいでは、常時不安感に苛まれる神経症状が現れる一方で、強いストレス下では解離や妄想などの一過性の精神病症状も見られます。
「境界性」という名称は、神経症と精神病の中間に位置するとされたことが由来です。
しかし、現在では、境界性パーソナリティ障がいという独立した精神障がいとして認識されています。
ライトメンタルクリニックによると、境界性パーソナリティ障がいの有病率は、1.9%程度で、女性に多く見られるとされています。
境界性パーソナリティ障がい以外のパーソナリティ障がいについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
境界性パーソナリティ障がいの特徴
ここからは、境界性パーソナリティ障がい罹患者によく見られる特徴を5つ紹介します。
- 二分法的認知
- 不安定な感情
- 家族とのわだかまり
- 自己破壊的行動
- 空虚感
二分法的認知
境界性パーソナリティ障がいを持つ人は、物事や他者、自分に対して「全か無か」や「最高か最悪か」といった極端な認知である「二分法的認知」をする傾向があります。
二分法的認知では、自分に都合の良いときは相手を「とても良い人」と評価しますが、少しでも不都合が生じると「最低な人」と評価が一転します。
これは、自己愛の成長過程で不全感があり、周囲から一貫して受け入れられなかった経験が主な原因です。
このような認知の偏りは、物事を部分的にしか見られない「部分対象関係」に関連しています。
ありのままの自分や他者を受け入れることが難しいため、極端な判断を下してしまいます。
不安定な感情
境界性パーソナリティ障がいでは、感情が過剰に高まるため、本人でさえ制御できないほど強い感情に襲われることが少なくありません。
また、過去のトラウマの影響で脳の扁桃体が過活動を起こすため、ささいな出来事にも過敏に反応してしまうでしょう。
さらに、自我の統合が弱く、対立する感情が同時に存在する「アンビバレンスな感情」も見られます。
アンビバレンスな感情は、親からの理不尽な対応など、好きと嫌いという対立する感情が同時に存在する状況が続いた場合に生じます。
家族とのわだかまり
境界性パーソナリティ障がいを抱える人々は、親に対する強い否定的な感情だけでなく、親を求める気持ちを抱いています。
この相反する感情が葛藤を生み出します。
また、親に対して否定的な感情を持つことに罪悪感を抱くため、感情はさらに複雑化するでしょう。
さらに、二分法的認知の影響で、親の姿を等身大で捉えられず、時には親を過度に理想化し、他の時には強くこき下ろすという極端な認識を持ちます。
このような複雑で矛盾した感情が、家族との関係における深いわだかまりを引き起こします。
自己破壊的行動
境界性パーソナリティ障がいを抱える人々は、しばしば自己破壊的な行動をとることがあります。
これは、見捨てられ不安や自己否定、そして二分法的認知が原因となり、自分の価値を極端に低く評価することが原因です。
境界性パーソナリティ障がい特有の認知から、自分を傷つける行為や自殺企図といった自暴自棄な行動に至ることがあります。
自己破壊的行動は、自己否定やうつ状態から一時的に逃れようとする意思が生み出すものでもあります。
幼少期に「自分は生きる価値がない」と刷り込まれた認識が、こうした自己破壊的な行動を助長しているのでしょう。
このような行動は、自分自身を守るための不適切な方法として現れ、結果的にさらなる苦しみを招きます。
空虚感
境界性パーソナリティ障がいの人々は、自己肯定感や世界への信頼感が欠如しています。
そのため、常に満たされない空虚感を抱えています。
境界性パーソナリティ障がい特有の空虚感は、自己の存在や価値を見失った状態を引き起こし、日常生活に深い影響を及ぼすため、注意しなければなりません。
境界性パーソナリティ障がいの原因
境界性パーソナリティ障害は、生物学的要因と後天的要因が複合的に関与している精神障がいです。
生物学的には、セロトニンの代謝異常や、衝動性や感情のコントロールがうまくできない脳の働きが影響しているとされています。
遺伝的な気質も起因しており、とくに過敏な性質や衝動性が影響するとされています。
後天的要因としては、一貫しない養育や劣悪な環境が代表例です。
とくに、子どもが「不認証環境」に置かれた場合、自分が受け入れられていないと感じ、常に見捨てられる不安を抱えることになります。
また、愛着障害や幼少期のトラウマも、境界性パーソナリティ障害の発症に寄与する要因とされています。
さらに、現在のストレスフルな環境や、急激な生活の変化も発症のリスクを高めるでしょう。
境界性パーソナリティ障がい罹患者のサポートで意識すること
境界性パーソナリティ障がいは、自分だけでなく友人や家族が罹患する可能性があります。
境界性パーソナリティ障がいにおける適切なサポート方法を把握しておくことで、境界性パーソナリティ障がい罹患後も良い信頼関係を維持できます。
ここからは、境界性パーソナリティ障がい罹患者のサポートで意識することを3つ紹介します。
- 相手を否定しない
- 些細な変化でも気付けるようにする
- 笑顔で接する
境界性パーソナリティ障がい罹患者や境界性パーソナリティ障がいに理解がある方との出会いを求めている方は、こちらのコラムをご覧ください。
相手を否定しない
境界性パーソナリティ障がい罹患者が体験していることは、主観的な現実であり、それを否定することで信頼関係を壊してしまう可能性があります。
具体的には、自己破壊的行動のような症状が現れる場合、その内容が客観的に真実であるかどうかは重要ではなく、相手がその状況を実際に感じている事実に寄り添わなければなりません。
否定的な対応は、罹患者が持つ脆弱な自己肯定感や安心感をさらに揺るがせ、彼らとの信頼関係を一気に失うリスクを伴います。
そのため、相手の感情や体験を尊重し、「どう感じているか」に共感することで、境界性パーソナリティ障がい罹患者が安心して自分の気持ちを共有できる環境を提供できます。
些細な変化でも気付けるようにする
境界性パーソナリティ障がい罹患者の感情や調子が日々大きく変動します。
とくに、気候や気圧の変化、プライベートな出来事や人間関係の影響を受けやすく、それによって極端に調子を崩すこともあるでしょう。
そのため、罹患者の調子の変化に敏感に気付き、早期に対処することが求められます。
境界性パーソナリティ障がい罹患者は、自分が陥っている状態に気付けないことが多いため、第三者が適切なタイミングで介入し、気持ちを整理する手助けをサポートしなければなりません。
第三者の介入により、罹患者は冷静さを取り戻し、自分の感情と向き合えます。
したがって、境界性パーソナリティ障がい罹患者の言動に対して常にアンテナを立て、必要に応じてサポートを提供することが、彼らとの信頼関係を築き、安定した支援を実現します。
笑顔で接する
境界性パーソナリティ障がい罹患者は、他者の態度や表情に敏感です。
そのため、相手が仏頂面や険しい表情を見せると「自分が何か悪いことをしたのか」と不安になります。
対人関係における不安が増すと、本来相談したかったことを話せなくなる可能性もあります。
したがって、精神的安心感を与えるために、笑顔で接することは欠かせません。
また、笑顔は、境界性パーソナリティ障がい罹患者が発する負のエネルギーに影響されることを防ぎます。
そのため、メンタル不調を持つ相手との接触でも、自分の精神的健康を維持する助けとなるでしょう。
笑顔は、罹患者だけでなく、自分自身にも元気と活力をもたらすプラスの要素が大きく、双方にとって有益です。
IRODORIで境界性パーソナリティ障がいに理解がある人と出会おう
今回は、境界性パーソナリティ障がいの特徴や原因などを紹介しました。
境界性パーソナリティ障がいなどの精神障がいは、治療が難しい病とされていました。
しかし、医療技術が進歩したことで、精神療法や薬物療法などの治療方法が発見されています。
少しでも境界性パーソナリティ障がいの疑いがある方は、専門家に相談してみてください。
また、境界性パーソナリティ障がいが原因で、コミュニティ形成に後ろ向きという方も少なくないでしょう。
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