知的障がいとは?種類や特徴を解説
2024/08/27/
令和5年版 障害者白書によると、日本国内に知的障がい児・者は、109.4万人存在するとされています。
日本国内でも多く知的障がい者が確認されていますが、皆さんは知的障がいがどのような障がいかご存知でしょうか。
本記事では、知的障がいの種類や特徴などを紹介します。
最後まで読んでいただくと、知的障がいに対する理解が深まります。
Contents
知的障がいとは
知的障がいとは、発達障がいの一種であり、発達期において論理的思考や問題解決、学習などの知的機能に支障が生じ、適応機能に欠陥が見られる精神障がいです。
精神遅滞とも呼ばれます。
APA(アメリカ精神医学会:American Psychiatric Association)が出版しているDSM(精神障害の診断と統計マニュアル:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第5版である「DSM-5」では、「知的能力障害(知的発達症)」とも表記されています。
厚生労働省によると、知的障がいは、有病率が一般人口の約1%で、女性より男性の発症が多いとされる精神障がいです。
知的障がいは、概念的、社会的、実用的な領域において、知的機能の欠陥と適応機能の欠陥が発達期(おおむね18歳まで)に生じます。
また、知的障がいは個人の適応能力にも影響を与え、特別な支援が必要なことがあります。
発達障がいとの違い
発達障がいとは、脳機能の発達に以上が生じることで、コミュニケーションや対人関係などに支障をきたす精神障がいです。
知的障がいは、知的機能の全般的な遅れと成長の停滞が生じる精神障がいで、主に適応機能に制限があります。
一方で、発達障がいは、脳の特定機能がうまく働かないことで引き起こされるもので、自閉症スペクトラム障害や学習障害、注意欠陥多動性障害などが含まれます。
発達障がいの人でも知的障がいが伴うとは限りません。
したがって、知的障がい者と発達障がい者では支援の内容が異なるため、それぞれの特徴を理解し、適切に支援する必要があります。
発達障がいに分類されるASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
知的障がいの診断基準
知的障がいは、DSM-5やWHO(世界保健機関:World Health Organization)が作成した「ICD(国際疾病分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)-10」などで定められた基準に従い診断します。
診断基準の一例として、幼児期には言葉の遅れや運動能力の発達の遅れが初期症状として現れることがあります。
診断にあたっては、知的機能の評価に加え、染色体異常や中枢神経の感染症などの原因疾患の有無を調べなければなりません。
また、日常生活における適応機能は、「概念的領域」、「社会的領域」、「実用的領域」の3つの領域で評価されます。
知的障がいの種類と特徴
知的障がいは、厚生労働省が制定した基準に基づき、症状のレベルによって4つに分類されます。
ここからは、4種類の知的障がいの特徴を紹介します。
- 最重度知的障がい
- 重度知的障がい
- 中度知的障がい
- 軽度知的障がい
最重度知的障がい
最重度知的障がいとは、知的機能が極めて低く、自立した生活が極めて困難な状態のことです。
通常、IQが20未満、またはIQが35未満で日常生活能力が非常に低い場合に該当します。
厚生労働省が実施した平成17年度知的障害児(者)基礎調査によると、知的障がい者の内、14.9%が最重度知的障がいに該当するとされています。
最重度知的障がい者は、発語が少なく、コミュニケーションが限定的で、身振りや絵カードなどを使った支援が必要です。
日常生活においても衣服の着脱や食事、排泄などに介助が求められます。
さらに、多くの人がてんかんや視覚・聴覚障がい、神経障がいなどを併せ持ちます。
重度知的障がい
重度知的障がいとは、知的機能の低下が顕著で、自立した生活が難しい状態のことです。
一般的に、IQが21〜35の範囲にある人が該当しますが、IQが36〜50の場合でも日常生活能力が著しく低い場合や、IQが20以下でも一定の生活能力がある場合も含まれます。
厚生労働省が実施した平成17年度知的障害児(者)基礎調査によると、知的障がい者の内、24.4%が重度知的障がいに該当するとされています。
重度知的障がいの特徴のひとつが、運動や言語、対人コミュニケーションの遅れが2歳頃までに現れることです。
単純な会話や身ぶりでのコミュニケーションは可能な場合もありますが、共感や複雑な概念の理解が難しくなります。
また、日常生活の全ての面で広範な支援を必要とし、集中力の欠如や衝動的な行動も見られます。
さらに、併存する身体障がいや疾患に対する医療的支援が必要となる場合があることも念頭においてください。
中度知的障がい
中度知的障がいとは、知的機能や適応能力の発達に遅れがあり、自立した生活や社会参加が部分的には可能であるものの、全般的には支援が必要な状態のことです。
一般的に、IQが36〜50の人が該当しますが、IQが51〜70の場合でも日常生活に支障がある場合や、IQが21〜35以下でもある程度の生活能力がある場合も含まれます。
厚生労働省が実施した平成17年度知的障害児(者)基礎調査によると、知的障がい者の内、25.5%が中度知的障がいに該当するとされています。
言語の理解や使用に遅れが見られ、学習能力は小学生程度に留まることが中度知的障がいに見られる特徴のひとつです。
具体的には、ひらがなやカタカナの読み書きは可能ですが、漢字や複雑な計算は難しくなります。
また、決まった作業手順をこなすことはできますが、状況に応じた判断や調整が難しいため、日常生活や仕事においては周囲の支援や配慮が必要です。
軽度知的障がい
軽度知的障がいとは、知的障がいの中で最も軽度に分類される状態です。
一般的に、IQが51〜70の範囲に該当する人々を指しますが、IQが36〜50でも日常生活にある程度の支援が必要な場合も含まれます。
厚生労働省が実施した平成17年度知的障害児(者)基礎調査によると、知的障がい者の内、23.3%が軽度知的障がいに該当するとされています。
日常生活や言語によるコミュニケーションでは、一見して障がいがあることに気づかれにくいことが軽度知的障がいに見られる特徴のひとつです。
コミュニケーション能力が正常に見えても、抽象的な概念の理解や臨機応変な対応が難しいことがあり、学習面や社会生活で困難を抱えることがあります。
また、発達障がいや精神障がいを併発することもあり、早期の支援や適切な環境整備が求められます。
適切な支援があれば、読字や金銭の管理、家事などの日常生活を自立して行うことが可能です。
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今回は、知的障がいの種類や特徴などを紹介しました。
知的障がいは、長年確認されている障がいですが、未だに偏見が払拭されていません。
障がい者向けの制度や体制が整いつつある昨今、障がい者への理解は、今後も重要視されるでしょう。
本記事をきっかけに知的障がい以外の障がいについても調べてみてください。
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