コラム

シゾイドパーソナリティ障がいとは?

2024/10/03/

シゾイドパーソナリティ障がい(ScPD:schizoid personality disorder)は、他者との関わりを避け、感情表現が乏しい性格の傾向を特徴とする障がいです。

スキゾイドパーソナリティ障がいと呼ばれることもあります。

日本でも確認されている精神障がいですが、その実態がよくわからないという方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、シゾイドパーソナリティ障がいの診断基準や原因、治療法などを紹介します。

シゾイドパーソナリティ障がいとは

シゾイドパーソナリティ障がい(ScPD:schizoid personality disorder)とは、パーソナリティ障がいのひとつです。

パーソナリティ障がいについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

シゾイドパーソナリティ障がいは、他者との親密な関係に対して無関心で、社会的なつながりや集団に対しても満足感を感じません。

そのため、家族や友人を含む周囲との親密な関係を望まず、孤立した生活を好む傾向があります。

また、他人との性体験への興味が薄く、喜びを感じることも少ないため、感情表現が乏しく、周囲からの称賛や批判にも無関心に見えるでしょう。

統合失調症との違い

統合失調症とは、脳の働きが乱れ、思考や感情、行動に影響が出る精神障がいです。

典型的な症状として、実際には存在しない声が聞こえる幻聴や、現実とは異なる妄想などがあります。

また、感情表現や意欲の低下も症状のひとつです。

統合失調症について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

シゾイドパーソナリティ障がいと統合失調症は、共に社会的孤立や感情表現の乏しさなどが見られます。

しかし、異なる点もいくつかあります。

一例として、シゾイドパーソナリティ障がいでは、統合失調症に見られるような認知障がいや知覚障がい(パラノイアや幻覚)が存在しません。

一方、統合失調症は、現実認識の歪みがあり、幻覚や妄想が主な症状として現れます。

シゾイドパーソナリティ障がいは、あくまで対人関係や感情表現の問題が中心で、精神病的な要素は含まれません。

しかし、統合失調症の前駆症状として見られることもあり、両者の区別が難しい場合もあります。

発達障がいとの違い

発達障がいとは、脳機能の発達に関連する障がいです。

コミュニケーションや対人関係に困難を抱えることが多く、行動や態度が誤解されることもあります。

発達障がいの一種であるASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。


シゾイドパーソナリティ障がいと発達障がいは、脳の中枢神経系や自律神経系の働きに問題があるとされています。

その他にもいくつか共通点がありますが、本質的に異なる障がいです。

具体的には、シゾイドパーソナリティ障がいは、対人関係や外界に対する興味が極めて薄く、社会的に孤立しやすい傾向があります。

一方、発達障がいは脳の機能障がいに起因しており、特に社会的な交流やコミュニケーションにおいて支障をきたします。

このように、シゾイドパーソナリティ障がいは内的な感情の分裂が見られ、発達障がいは脳の発達不均衡に起因しています。

シゾイドパーソナリティ障がいの診断基準

シゾイドパーソナリティ障がいの診断は、APA(アメリカ精神医学会:American Psychiatric Association)が発行する「精神障がいの診断と統計マニュアル」の第5版である「DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders – Fifth Edition)」に基づき診断されます。

DSM-5では、社会的関係からの離脱や感情表現の制限が成人期早期から持続することを条件とします。

診断には、以下のような特徴のうち4つ以上が持続的に見られなければなりません。

  • 家族を含む親密な関係を求めない
  • 一人での活動を好む
  • 他者との性的興味が乏しい
  • 喜びを感じる活動が少ない
  • 親しい友人がいない
  • 他者からの批判や称賛に無関心
  • 感情表現が乏しい

シゾイドパーソナリティ障がいの原因

シゾイドパーソナリティ障がいの原因は明確に特定されていませんが、遺伝的要因と環境要因が影響すると考えられています。

シゾイドパーソナリティ障がいを持つ人は、統合失調症や失調型パーソナリティ障がいの家族に多く見られています。

そのため、シゾイドパーソナリティ障がいは、遺伝の影響が大きいと考えられるでしょう。

また、精神分析では、乳幼児期の自我発達や養育者との関係が重要視されています。

とくに、感情的に冷たい態度やネグレクトする養育者の存在は、他者との親密な関係に対する無関心や不安感を助長するとされています。

このような要因が複合的に作用し、シゾイドパーソナリティ障がいの特徴が形成されるのでしょう。

シゾイドパーソナリティ障がいの治療法

医療技術の進歩によりシゾイドパーソナリティ障がいの研究も進んでいます。

シゾイドパーソナリティ障がいの研究にあたり、治療法もいくつか見つかりました。

ここからは、シゾイドパーソナリティ障がいの代表的な治療法を3つ紹介します。

  1. 集団療法
  2. 認知行動療法
  3. TMS治療

集団療法

集団療法とは、複数の患者が一つの集団を形成し、専門家のファシリテーターの下で相互に関わり合いながら、対人スキルを向上させ、社会的適応力を育む心理療法です。

患者が他のメンバーと対話を重ねることで、自分の孤立感を軽減し、共感や理解を得る経験が促されます。

これにより、シゾイドパーソナリティ障がい特有の孤立傾向が和らぎ、他者との繋がりを感じられるでしょう。

また、患者が自分の感情や問題を共有し、他のメンバーの話に耳を傾けることで、自己理解や自己受容が深まります。

集団内で得られる共感的な体験や他者からのフィードバックは、彼らが社会的な関係性を築くための第一歩となり、孤立からの脱却を助長します。

認知行動療法

認知行動療法(CBT: cognitive behavioral therapy)とは、認知や思考の偏りに働きかけ、現実的でバランスの取れた思考を育てることで、ストレスや問題に対処する力を高める心理療法です。

シゾイドパーソナリティ障がいの治療において、認知行動療法は、患者の社会的スキルを向上させるために有効とされています。

シゾイドパーソナリティ障がいの患者は対人関係に無関心です。

また、感情的な距離を保つ傾向があります。

認知行動療法では、患者が社会的な手がかりや非言語的なコミュニケーションを認識し、それに適切に対応するスキルを学ぶことで、シゾイドパーソナリティ障がい特有の行動を少しずつ変えることを目指します。

TMS治療

TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法:repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)とは、頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えることで、脳神経のネットワークのバランスを整え、正常な脳活動を促進する治療法です。

アメリカや欧米諸国で広く普及しており、日本では一部の医療機関で提供されています。

TMS治療は、薬物療法に比べ副作用が少なく、治療期間も短いとされています。

また、パーソナリティ障がいに加え、発達障がいの症状にも改善効果があることが確認されています。

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今回は、シゾイドパーソナリティ障がいの診断基準や原因、治療法などを紹介しました。

シゾイドパーソナリティ障害について正しく理解することは、偏見を減らし、適切な支援や治療を提供するためにかかせません。

また、患者の特性を理解することで、より良いコミュニケーションと関係構築が実現するでしょう。

本記事を通じて、シゾイドパーソナリティ障がいへの理解を深めていただけるとさいわいです。

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