強迫性パーソナリティ障がいとは?
2024/10/03/
強迫性パーソナリティ障がい(OCPD:obsessive–compulsive personality disorder)は、完璧主義や過度な秩序、コントロールへのこだわりが強く、柔軟性や効率性を欠く精神障がいです。
些細なことにも過度にこだわり、対人関係や日常生活に支障をきたすことがあります。
本記事では、強迫性パーソナリティ障がいの診断基準や恋愛における特徴などを解説します。
Contents
強迫性パーソナリティ障がいとは
強迫性パーソナリティ障がい(OCPD:obsessive–compulsive personality disorder)とは、秩序や完璧主義に強くこだわり、柔軟性や効率性が損なわれる性格特性を持つ精神障がいです。
物事を特定の方法で行わなければならないと信じ、自分のやり方へ過度に固執する傾向があります。
一例として、仕事で報告書を作成する際、何度も見直して完璧を追求するあまり、締め切りに間に合わないことがあります。
また、プライベートでも、家を完璧に掃除し続けたり、旅行の日程を分刻みで計画するなど、行動が過度に規則的で他者にもそれを強要することがあるでしょう。
これにより、他人と協力することや人に仕事を任せることに対して苦手意識を持っています。
さらに、強い倹約意識を持ち、収入が十分であっても低い生活水準を続け、将来の不測の事態に備えようとする傾向があります。
これらの特徴が原因で、周囲からは堅苦しい人と思われたり、円滑なコミュニケーションができなかったりすることも少なくありません。
パーソナリティ障がいは、強迫性パーソナリティ障がい以外にもさまざまな種類があります。
他のパーソナリティ障がいについても知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
強迫性障がいとの違い
強迫性障がいとは、不合理な思考や不安(強迫観念)が頭から離れず、それを和らげるために特定の行為(強迫行為)を繰り返してしまう障がいです。
一例として、手が汚れていると感じて何度も手を洗ったり、戸締まりを過剰に確認したりするなどがあります。
強迫性パーソナリティ障がいと強迫性障がいは名称こそ似ているものの、その実態や特性は全く同じというわけではありません。
強迫性障がいは、不合理な思考である強迫観念が自分の意識とは無関係に浮かび、それに対処するために強迫行為に及びます。
本人はこれらの思考や行動が不合理だと自覚しています。
一方、強迫性パーソナリティ障がいは、完璧主義や秩序に対する過度なこだわりを持ち、これが日常生活全般にわたって現れます。
本人はこのこだわりを合理的だと考えているため、自身の行動を問題視しません。
そのため、他者にも同じ基準を要求し、柔軟性を欠いた行動を取ることがあります。
アスペルガー症候群との違い
アスペルガー症候群とは、自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)に含まれる発達障がいです。
知的発達や言語の遅れはありませんが、コミュニケーションが難しく、興味・関心の偏りが見られます。
また、比喩や遠回しな表現を理解するのが難しいことがあります。
自閉スペクトラム症について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
アスペルガー症候群は、生まれつき罹患する発達障がいですが、強迫性パーソナリティ障がいは、成長してから発症することもあります。
強迫性パーソナリティ障がいの診断基準
強迫性パーソナリティ障がいは、期間ごとに診断基準を定めています。
ここからは、強迫性パーソナリティ障がいの代表的な診断基準を2つ紹介します。
- DSM-5
- ICD-10
DSM-5
DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition)は、アメリカ精神医学会(APA:American Psychiatric Association)が発行する精神疾患の診断基準マニュアルです。
各種精神疾患の診断基準を統一し、診断・治療の指針として広く使用されています。
DSM-5では、強迫性パーソナリティ障がいについて「過剰な秩序」、「完璧主義」、「精神的および対人的な統制に対する関心」によって特徴づけられ、柔軟性、開放性、効率性の欠如を引き起こすとされています。
強迫性パーソナリティ障がいの診断には、以下の基準のうち4つ以上が満たされなければなりません。
- 些細なことへの過度なこだわりと完璧主義
- 仕事や生産性への過度な専念
- 道徳や倫理、価値観に対する過度な良心性
- 捨られないほど価値のない物への固執
- 他者に任せることを嫌い、自己流を押し通す
- 金銭を将来の不測の事態に備えて貯蓄することに固執する
- 固執的で頑固な性格
ICD-10
ICD-10(International Classification of Diseases, 10th Revision)は、世界保健機関(WHO:World Health Organization)が策定した国際的な疾病分類の基準です。
全世界で統一された医療・健康の診断・統計分類として使用され、精神疾患や身体疾患の診断コードを規定しています。
ICD-10では、強迫性パーソナリティ障がいについて、「過度の秩序」、「完璧主義」、「コントロールへのこだわり」などが特徴としてあげられています。
強迫性パーソナリティ障がいの診断には、以下の基準のうち少なくとも4つが該当しなければなりません。
- 細部、規則、秩序、予定にとらわれ、活動の本質を見失う
- 完璧主義が強すぎて、仕事や活動の達成を妨げる
- 過剰な仕事への専念
- 道徳や倫理に対する過度の良心性
- 捨てられない無価値なものに固執する
- 他者の方法や助けを拒み、自己流を押し通す
- 金銭を将来の予期せぬ出来事に備えて貯蓄し、無駄遣いをしない
- 頑固で柔軟性に欠ける。
また、ICD-10では、症状が少なくとも2週間連続してほとんど毎日存在し、生活上の苦痛や機能の障がいを引き起こすことが求められます。
恋愛における強迫性パーソナリティ障がいの特徴
強迫性パーソナリティ障がいでは、完璧主義や過度なコントロールへのこだわりが顕著に現れます。
具体的には、パートナーの評価や反応を過度に気にし、自分の行動が完璧でなければならないというプレッシャーを感じます。
そのため、些細なミスや不安要素にも敏感に反応し、相手との関係においても慎重すぎる行動を取ってしまうでしょう。
また、計画通りに進まないことに強い不安を抱くため、恋愛の中で予期せぬ事態や変化に対応することが難しくなります。
結果として、自由で自然なコミュニケーションが阻害され、自分らしさを表現することが難しくなり、パートナーとの関係に摩擦が生じます。
自身の障害をオープンにできるパートナーや友人を探したい方は、以下のコラムをご覧ください。
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今回は、強迫性パーソナリティ障がいの診断基準や恋愛における特徴などを解説しました。
強迫性パーソナリティ障がいと向き合うには、自分の完璧主義や柔軟性の欠如を認識し、目標を少しずつ緩和する必要があります。
一人で解決できない場合は、必要に応じて専門医の支援を求めましょう。
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