インナーチャイルドとは?自分で癒す方法や向き合い方について
2024/11/04/
インナーチャイルドとは、内なる子どもを指し、幼少期の経験や感情が無意識に影響を与える存在です。
未解決の感情やトラウマが大人になっても残り、心の健康や人間関係に影響を及ぼすとされています。
インナーチャイルドは、日本にも存在していますが、どのような特徴があるかを知らないという方も少なくないでしょう。
そこで、本記事では、インナーチャイルドの概要をはじめ、自分で癒す方法や向き合い方について解説します。
Contents
インナーチャイルドとは
インナーチャイルドとは、心の中に存在する無邪気で純粋な「内なる子ども」のことです。
幼少期に体験した感情や記憶が蓄積されており、時には大人になっても影響を与えることがあります。
顕在意識は、私たちが日常で思考・判断する領域の内、5%の部分です。
その内、インナーチャイルドを含む潜在意識は残りの95%を占め、無意識的に私たちの行動や反応に影響を与えます。
インナーチャイルドの原因
インナーチャイルドを引き起こす主な原因は、幼少期の家庭環境です。
とくに、10歳までに身体的または精神的な暴力や、家族関係に問題を抱えた経験がトラウマとなり、インナーチャイルドを引き起こしやすい傾向があります。
インナーチャイルドは、身を守るために「甘えたい」などの本来の感情を隠し続けます。
こうした抑圧された感情が、大人になっても内に残り続けることがインナーチャイルドの根本的な原因です。
インナーチャイルドの種類
インナーチャイルドは、いくつかのパターンに分類されます。
代表的なインナーチャイルドは、以下の9つです。
- 孤独感のあるロストラブ
- 良い子を演じるニゲーション
- 自分自身を追い詰めやすいエクステクペーション
- コンプレックスを感じやすいアビアランス
- 感情を表に出せないシークレット
- 存在を否定しがちなディスライク
- 世話をしすぎるヘルパー
- 過度な自己中心インダルジ
- 逃避癖のあるディスペンデンスパーソン
孤独感のある「ロストラブ」
孤独感のあるロストラブとは、愛情が少ない冷たい家庭環境で育ち、孤独感や無価値感を抱えたインナーチャイルドのことです。
幼少期に両親との関わりが少なかったり無視された経験から、他者に嫌われることを極端に恐れ、過度に相手に依存します。
一方で、愛情という感情が理解できず、他者に執着しない人もいます。
いずれも「自分は愛される価値がない」という根底にある思いから、人間関係で孤独感や不安を抱えやすくなるでしょう。
良い子を演じる「ニゲーション」
良い子を演じるニゲーションとは、幼少期に兄弟や他人と比較され、自分を否定されたことで形成されたインナーチャイルドのことです。
親の期待に応えるために自分の感情や欲求を抑え込み、良い子を演じるようになります。
良い子を演じるニゲーションでは、無意識に「条件付きでしか愛されない」と感じ、自分自身の欲望や感情がわからなくなります。
その結果、大人になっても他者の期待に応え続け、自己表現が苦手になるでしょう。
自分自身を追い詰めやすい「エクステクペーション」
自分自身を追い詰めやすいエクステクペーションとは、親からの過度な期待に常にさらされて育ったインナーチャイルドのことです。
親の期待が大きすぎると、子どもにとってはプレッシャーとなります。
その結果、恐怖や不安、不快感を感じることが少なくありません。
自分自身を追い詰めやすいエクステクペーションは、過度に期待されたことから自己評価が厳しくなり、自分を追い詰める傾向があります。
また、反抗や反発として現れることもあり、時に非行に走る場合もあります。
コンプレックスを感じやすい「アビアランス」
コンプレックスを感じやすいアビアランスは、世間体を重視する家庭環境で育ったインナーチャイルドです。
親から「いい成績を取り、一流の大学に進学し、一流の企業に就職することが幸せ」と教え込まれることで、子どもはその価値観を正しいものとして受け入れます。
この影響により、大人になると自分より劣っている人に対して優越感を抱きます。
その一方で、自分より優れた人には劣等感を感じる傾向が強くなるでしょう。
結果として、コンプレックスを抱えやすく、外面や学歴に執着するようになります。
感情を表に出せない「シークレット」
感情を表に出せないシークレットは、秘密のある家庭で育ったインナーチャイルドです。
親から「人に嘘をついてはいけない」と教えられながらも、自ら矛盾を要求することが多く、子どもは混乱します。
一例として、サンタクロースの存在について友達と対立した後に、親から真実を告げられることで、裏切られた気持ちを抱くことなどがあります。
このような環境で育つと、自分の感情や意見を隠す傾向が強まり、自己表現ができなくなるでしょう。
最終的には、孤独感を抱えながら、他人に心を開くことを恐れるようになります。
存在を否定しがちな「ディスライク」
存在を否定しがちなディスライクは、嫌悪され否定されて育ったインナーチャイルドです。
無条件に親を愛する子どもは、親の期待に応えようとして自分自身を否定し、「こうならなければ愛されない」と思い込んでしまいます。
その結果、容姿に強いコンプレックスを抱き、自分の性別とは異なる行動をとります。
大人になっても自己否定が続き、自信を持てず、整形依存などを誘発することも少なくありません。
世話をしすぎる「ヘルパー」
世話をしすぎるヘルパーは、助ける役割を担って育ったインナーチャイルドのことです。
感謝されることで自己価値を感じ、心地よさを得るため、他者を助けることが自分の存在意義となります。
大人になっても人助けを通じて優越感を得るため、他者を過剰にサポートしてしまいます。
その結果、トラブルに巻き込まれ、自分のニーズを後回しにしてしまうでしょう。
また、自己犠牲的な性格が形成され、無意識に困っている人を探すこともあります。
過度な自己中心「インダルジ」
過度な自己中心インダルジは、極端に甘やかされて育ったインナーチャイルドのことです。
何をしても許される環境で育ち、モラルや社会のルールを学ばなかったため、思い通りにならないことに対して強い悲しみや怒りを抱く傾向があります。
また、自分の要求を叶えてくれる人に対して過剰に依存します。
逃避癖のある「ディスペンデンスパーソン」
逃避癖のあるディスペンデンスパーソンは、依存性のある親に育てられたインナーチャイルドです。
アルコールやギャンブルなどに依存した親を見て学び、問題から逃げる傾向を持ちます。
親が困難な現実に対処せず、依存物に逃げ込む姿を見て育つことで、同様の行動を無意識に模倣するようになります。
大人になっても、ストレスや嫌なことがあると、問題解決よりも楽な逃避を選ぶため、依存症になりやすい性格傾向が形成されるでしょう。
また、責任を負うことが苦手で、最後まで物事をやり遂げることが難しいといった特性も持っています。
インナーチャイルドを自分で癒す方法
インナーチャイルドは、セルフケアで改善できます。
ここからは、インナーチャイルドを自分で癒す方法を5つ紹介します。
- 日記を書く
- リラクゼーション法を実践する
- プチ贅沢してみる
- セラピーやワークショップに参加する
- 自分の居場所をつくる
日記を書く
日記を書くことで、日常生活で抑圧している感情や過去のトラウマに向き合う機会を持ち、感情を表現できます。
また、無意識に感じている怒りや悲しみを文字にすることで、心の重荷を軽減します。
継続的に書くことで、症状の回復や自己成長を促せるでしょう。
リラクゼーション法を実践する
深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスが軽減し、自己内観がしやすくなります。
心を穏やかにし、感情を冷静に受け入れる余裕が生まれ、過去のトラウマや未解決の感情に向き合う準備が整います。
プチ贅沢してみる
プチ贅沢とは、日常生活の中で手軽に楽しめる少しの贅沢や特別感のことです。
高価でなくても、自分にとって特別な体験やアイテム、心地よい時間を作ることで、心の満足感や幸福感を得られます。
インナーチャイルドは、過去に十分な愛情や自己肯定感を感じられなかった部分を抱えています。
そのため、日常の中で小さな贅沢を通じて「自分は価値のある存在だ」と感じさせることが重要です。
好きな物を買ったり、美味しい食事を楽しんだりすることで、自己肯定感を育て、自己愛を実感しやすくなります。
セラピーやワークショップに参加する
セラピストやファシリテーターの指導のもとで、自分自身の過去の傷ついた部分に向き合い、適切なケアや対処法を学べます。
また、同じような経験を持つ人々と交流することで共感や安心感を得られます。
自身の症状に共感してくれる人と出会うことで、自分の抱える問題が特別ではないと理解でき、自己受容できるでしょう。
自分の居場所をつくる
インナーチャイルドは、過去の傷や不安によって心が不安定な状態に陥ります。
自分の居場所があることで、ストレスや外部のプレッシャーから解放され、自分らしくいられるでしょう。
また、感情を素直に感じ、自己肯定感を育めるため、心の安定が図れます。
インナーチャイルドの向き合い方
インナーチャイルドと向き合うことで、幼少期の心の傷や感情を癒し、自己理解を深められます。
これにより、過去のトラウマが解消され、現在の人間関係や自己肯定感を向上させられるでしょう。
ここからは、インナーチャイルドの向き合い方を5つ紹介します。
- 自分の感情を理解する
- 過去の出来事を振り返る
- 親との関係を見直す
- 親しい人へ打ち明ける
- 専門家に相談する
アダルトチルドレンをサポートする側が意識することを知りたい方は、コラムをご覧ください。
自分の感情を理解する
インナーチャイルドは、幼少期に感じた傷つきや不安、孤独などが未解決のまま残っている状態です。
自分の感情を理解することで、なぜ特定の状況で強い反応を示すのかを理解できます。
その結果、過去の痛みや感情を癒す適切な対処が実現できます。
過去の出来事を振り返る
インナーチャイルドは、過去に受けた傷やトラウマが原因で、現在も無意識に同じパターンで反応してしまうことがあります。
過去を振り返ることで、なぜ特定の状況で不安や怒りを感じるのか、その根本的な原因を見つけられます。
その結果、インナーチャイルドの痛みに気づき、適切に癒せるようになるでしょう。
親との関係を見直す
親からの言動や態度、期待に応えようとする中で、自己否定感や過度な自己批判が形成されることがあります。
親との関係を見直すことで、どのようなメッセージや影響が今の自分に影響を与えているのかを理解し、現在の自己認識を改善できるでしょう。
親しい人へ打ち明ける
心の内を信頼できる人に話すことで、抱えている傷や不安、自己否定感が軽減されると同時に、孤立感も緩和されます。
また、親しい人のサポートや励ましにより、自分を肯定的に受け入れられ、過去のトラウマや感情に対する健全な視点を持てるようになります。
専門家に相談する
精神科医やカウンセラーは、心の傷や過去の経験を客観的に分析し、効果的な治療法やアプローチを提供しています。
専門家に相談することで、自分では気づかない深層の感情や行動パターンを明確にし、より健全な自己理解を促せるでしょう。
また、安全で支えられた環境で感情を解放できるため、安心して自分と向き合えます。
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今回は、自分で癒す方法や向き合い方について解説しました。
インナーチャイルドと向き合うことで、自己理解が深まり、感情の整理が進みます。
これにより、人間関係が改善され、ストレスや不安が軽減されるでしょう。
一人で解決できない場合は、専門家に相談してみてください。
また、インナーチャイルド向けコミュニティに参加することで、共通の経験を持つ仲間と出会い、支え合いながら情報交換ができます。
しかし、インナーチャイルドに理解がある人が身近にいないという方も少なくないでしょう。
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