気分障害とうつ病の違いについて
2024/11/04/
気分障害やうつ病は、日本でも確認されている精神障がいです。
そんな気分障害とうつ病の違いをご存じですか?
本記事では、気分障害とうつ病の違いを解説します。
Contents
気分障害とは
気分障害とは、日常の出来事に関わらず、長期間にわたって気分が極端に落ち込んだり、逆に異常に高揚する状態が続く精神障害です。
以下のような症状が見られます。
- 長期的に悲しみや虚無感が継続する
- 興味や喜びがなくなる
- 疲労がたまりやすくなる
- 食欲がなくなるor増える
- 睡眠障害を引き起こす
- 集中力が低下する
- 自己肯定感が低くなる
- イライラしやすくなる
- 死にたくなる
- アルコールや薬物に依存する
気分障害には、複数の要因が関与しています。
具体的には、遺伝的な要素や家族歴が強く影響する場合があります。
また、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることも一因です。
さらに、ストレスフルな生活環境や、失業、離婚、愛する人の死などの重大な人生の出来事が引き金になることもあります。
過度のアルコールや薬物使用、慢性的な病気や身体的な健康問題も気分障害を引き起こす要因のひとつです。
うつ病とは
うつ病は、気分障害の一種で、精神的および身体的な症状を伴う深刻な状態です。
日常生活に大きな支障が生じ、脳がうまく機能しなくなることがあります。
うつ病の主な症状は、以下のとおりです。
- 長期的に憂うつな気分が継続する
- 何をしても楽しくない
- 食欲が大幅に増減する
- 睡眠時間が大幅に増減する
- 怒りっぽくなる
- 疲労がたまりやすくなる
- 集中力がなくなる
- 死にたくなる
うつ病の原因は完全には解明されていません。
しかし、精神的・身体的ストレスや脳の不調が関与していると考えられています。
日本では、100人に約6人がうつ病を経験しており、特に女性に多い傾向があります。
恋愛における気分障害やうつ病の特徴
気分障害やうつ病は、私生活や仕事だけでなく、恋愛にも影響を及ぼします。
ここからは、恋愛における気分障害やうつ病の特徴を障がいごとに紹介します。
気分障害
気分障害は、感情の浮き沈みが激しくなります。
とくに、うつ状態にあると、パートナーに対する興味や関心が減少し、疎遠になったり、愛情を感じにくくなるでしょう。
一方で、躁状態では過剰な感情表現や衝動的な行動を取ることがあり、これが関係にストレスを与えることもあります。
また、自己評価の低さや不安感が強まり、相手に依存しやすくなるなど、関係のバランスが崩れやすいのも特徴です。
うつ病
うつ病は、感情の抑制や無気力さが強く表れます。
うつ病の人は自己評価が低くなり、自分がパートナーにふさわしくないと感じたり、愛されていないと誤解することがあります。
これにより、恋愛に対する積極性が失われ、コミュニケーションが減少し、パートナーとの関係に距離が生じるでしょう。
また、情緒の不安定さや集中力の低下により、些細なことで不安を感じやすく、関係に緊張が生じることもあります。
気分障害やうつ病を持つ人は障害者手帳を申請できるのか
障害者手帳は、障害があることを証明する手帳です。
「身体障害者手帳」、「療育手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。
障害者手帳を持つことで、福祉サービスや税制優遇など、さまざまな支援を受けられます。
障害者手帳について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
気分障害やうつ病を持つ人も、精神障害者保健福祉手帳を申請できます。
精神障害者保健福祉手帳は、気分障害やうつ病など、長期間にわたり日常生活や社会生活に制約がある精神障害を持つ方を対象に発行されます。
精神障害者保健福祉手帳を申請するためには、初診から6か月以上経過していなければなりません。
また、申請には医師の診断書が必要です。
気分障害やうつ病を持つ人は障害年金を申請できるのか
障害年金は、病気やけがにより生活や仕事が制限される場合に受給できる年金です。
「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、受給には保険料の納付状況などの条件があります。
障害年金について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
気分障害やうつ病は、障害年金の対象となることがあります。
受給には「初診日要件」と「保険料納付要件」を満たさなければなりません。
うつ病の場合、障害の程度に応じて1級から3級の等級があり、症状が重いほど高い等級に認定されます。
また、障害年金は病名ではなく、実際の障害状態に基づいて支給されるため、症状の経過や日常生活への影響が考慮されます。
気分障害も同様に認定対象です。
詳細な基準については、専門機関に相談してみてください。
気分障害やうつ病の治療法
近年は、気分障害やうつ病に有効な治療法がいくつか発見されています。
ここからは、代表的な治療法を5つ紹介します。
- 薬物療法
- 認知行動療法
- 対人関係療法
- 電気けいれん療法
- 経頭蓋磁気刺激法
薬物療法
薬物療法は、主に抗うつ薬を使用して症状を改善する治療法です。
代表的な抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬などです。
これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気分の落ち込みや不安、無気力感を軽減します。
また、症状に応じて抗不安薬や気分安定薬などが併用されることもあります。
認知行動療法
認知行動療法(CBT)は、患者の思考パターンや行動を変えることで症状を改善する治療法です。
うつ病では、ネガティブな思考や自己評価が症状を悪化させるため、認知行動療法ではそのような否定的な思考を現実的かつ前向きなものに修正します。
また、患者が避けていた活動を徐々に再開し、日常生活に適応できるよう促します。
対人関係療法
対人関係療法(IPT)は、患者の対人関係や社会的役割に焦点を当てる治療法です。
対人関係の問題やストレスがうつ病の発症や悪化に影響を与えると考え、これを改善することで症状を軽減します。
主に、役割の変化、対人紛争、悲しみ、孤立などの問題に対処し、患者が効果的なコミュニケーションや適応的な対人スキルを習得することを目指します。
短期間の治療が中心で、とくにうつ病の治療に有効です。
電気けいれん療法
電気けいれん療法(ECT)は、気分障害やうつ病の治療に用いられる治療法です。
患者に軽い麻酔を施した後、頭部に電流を流し、短時間のけいれんを引き起こします。
このけいれんは、脳内の神経伝達物質や神経回路に影響を与え、うつ病や双極性障害の症状を改善する効果があります。
電気けいれん療法は通常、数回のセッションを通じて実施されますが、副作用として一時的な記憶障害が生じることがあるので、注意しましょう。
経頭蓋磁気刺激法
経頭蓋磁気刺激法(TMS)は、気分障害やうつ病の治療に使用される非侵襲的な治療法です。
強力な磁場を利用して脳の特定部位に電流を誘発し、神経活動を調整します。
うつ病では、前頭前皮質の活性を正常化することで、気分の改善を図ります。
薬物療法が効果を示さない患者に対しても有効で、重大な副作用が少ないため、今後も安全性の高い治療法として利用されるでしょう。
気分障害やうつ病を持つ人をサポートする際に意識すること
気分障害やうつ病と向き合うためには、周囲のサポートも欠かせません。
ここからは、気分障害やうつ病を持つ人をサポートする際に意識することを5つ紹介します。
- 障害への理解を深める
- 話をしっかり聞く
- 感情を否定しない
- 無理に気遣わない
- 専門家を頼る
障害への理解を深める
気分障害やうつ病を持つ人をサポートするには、まずその障害に対する理解を深めることが重要です。
障害についてりかいすることで、症状の本質や日常生活への影響を正しく認識し、適切な支援を提供できます。
また、誤解や偏見がなくなり、周囲のサポートがより効果的になり、本人が孤立せずに安心して治療や生活を続けられる環境が整います。
話をしっかり聞く
気分障害やうつ病を持つ人をサポートする際に話をしっかり聞くことは、相手の感情や思いを理解し、孤独感や不安を軽減するために重要です。
話を聞くことで、本人が心の中に抱えるストレスや悩みを外に出し、自己表現を促せます。
また、適切な対応や支援を考えるための重要な手掛かりにもなります。
感情を否定しない
気分障害やうつ病を持つ人をサポートする際に、相手の感情を否定しないようにしましょう。
感情を否定されると、本人は「理解されていない」と感じ、さらに孤立感や絶望感が深まることがあります。
感情はその人にとって真実であり、それを否定することは、心の痛みや悩みを軽視することにつながります。
逆に、感情を受け入れ共感することで、相手は安心感を持ち、信頼関係が築かれ、回復に向けたサポートがしやすくなるでしょう。
無理に気遣わない
気分障害やうつ病を持つ人をサポートする際に、無理に気遣いすぎないようにしましょう。
過度な気遣いは、相手にプレッシャーを与え、逆に「自分が迷惑をかけている」と感じさせてしまうことがあります。
また、相手が本音を言いにくくなり、サポートがかえって逆効果になる場合もあります。
専門家を頼る
カウンセラーやセラピストは、症状の理解や診断、治療法に関する最新の情報を持っており、患者の状態に応じた個別のアプローチが可能です。
また、専門家によるサポートは、患者が直面する問題や困難を客観的に評価し、効果的な治療計画を提案してくれます。
さらに、患者の回復を促進するために、家族や周囲の人々へのアドバイスも提供してくれます。
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今回は、気分障害とうつ病の違いを解説しました。
気分障害やうつ病への理解を深めることは、偏見を減らし、適切なサポートを受けることにつながります。
気分障害やうつ病について悩みや不安がある方は、専門家に相談してみましょう。
また、気分障害やうつ病を持つ人向けのコミュニティに参加することも障害への理解を深めるために有効です。
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