コラム

障害者手帳1級の基準や受けられる支援・サービスを解説

2024/12/03/

障害者手帳1級は、最も重い障害状態を持つと認定された人に交付される手帳です。

主に、日常生活や社会生活において全面的な支援が必要な状態を指します。

そんな障害者手帳1級を持っていると、医療費や公共料金の減免、交通機関の割引などの支援を受けられるのをご存じですか?

本記事では、障害者手帳1級の基準や受けられる支援・サービスなどを解説します。

障害者手帳とは

障害者手帳は、障害を持つ人が各種の福祉サービスや支援を受けるための証明書です。

以下の3種類があり、該当する障害や支援内容に応じて交付されます。

  1. 身体障害者手帳
  2. 療育手帳
  3. 精神障害者保健福祉手帳

障害者手帳について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

身体障害者手帳

身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法にもとづき特定の身体障害を持つ人が申請できる障害者手帳です。

厚生労働省によると、令和3年時点で4,910,098人に身体障害者手帳が交付されています。

以下のような障害が身体障害者手帳の申請対象となります。

対象となる身体障害

  • 視覚障害
  • 聴覚または平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害
  • ぼうこうまたは直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害
  • 肝臓機能の障害

参照元:身体障害者手帳制度の概要|厚生労働省

療育手帳

療育手帳とは、療育手帳制度要綱にもとづき知的障害を持つ人が申請できる障害者手帳です。

厚生労働省によると、令和4年時点で1,249,939人に療育手帳が交付されています。

基本的に療育手帳交付は、「重度(A)」と「それ以外(B)」に区分した判断基準に基づき審査されますが、自治体によっては独自の判断基準を設けている場合があります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳とは、精神障害者保健福祉手帳制度実施要領にもとづき特定の精神障害を持つ人が申請できる障害者手帳です。

交付日から2年が経過する日が属する月の末日までが有効期限とされています。

以下のような精神障害が精神障碍者保健福祉手帳の申請対象となります。

対象となる精神障害

  • 統合失調症
  • 気分障害
  • 非定型精神病
  • てんかん
  • 中毒精神病
  • 器質性精神障害
  • 発達障害

参照元:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について|厚生労働省

障害者手帳の等級

障害者手帳の等級は、障害の程度を示す分類です。

障害の種類や症状に応じて複数の等級に分かれています。

各障害者手帳の等級は、以下のように定められています。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、障害の症状や程度によって1〜7級に区分されています。

一例として、視覚障害の等級と判断基準は、以下のとおりです。

【1級】

視力の良い方の眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。)が0.01以下のもの

【2級】

  1. 視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの
  2. 視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
  3. 周辺視野角度(I/4視標による。以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度(I/2視標による。以下同じ。)が28度以下のもの
  4. 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

【3級】

  1. 視力の良い方の視力が0.04以上0.07以下のもの(2級の2に該当するものを除く。)
  2. 視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
  3. 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下のもの
  4. 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

【4級】

  1. 視力の良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下のもの(3級の2に該当するものを除く。)
  2. 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下のもの
  3. 両眼開放視認点数が70

【5級】

  1. 視力の良い方の眼の視力が0.2かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの
  2. 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
  3. 両眼中心視野角度が56度以下のもの
  4. 両眼開放視認点数が70点を超えかつ100点以下のもの
  5. 両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

【6級】

視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の眼の視力が0.02以下のもの

【7級】

引用元:身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)|厚生労働省

療育手帳

療育手帳は、身体障害者手帳と異なり判断基準を「重度(A)」と「それ以外(B)」に分類しています。

療育手帳交付の判断基準

重度(A)

  • 知能指数が概ね35以下で食事、着脱衣、排便および洗面等の日常生活の介護が必要
  • 知能指数が概ね35以下で異食、興奮などの問題行動を有する

それ以外(B)

  • 知能指数が概ね50以下で盲、ろうあ、肢体不自由等を有する

参照元:療育手帳の概要|厚生労働省

厚生労働省によって判断基準を制定していますが、交付自治体によっては、独自の基準を設けていることもあります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患と能力障害という2つの状態で1〜3級まで分類されています。

それぞれの判断基準は、以下のとおりです。

精神疾患

【1級】

  1. 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるもの
  2. 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、かつ、これらが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするもの
  3. 非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2に準ずるもの
  4. てんかんによるものにあっては、ひんぱんに繰り返す発作又は知能障害その他の精神神経症状が高度であるもの
  5. 中毒精神病によるものにあっては、認知症その他の精神神経症状が高度のもの
  6. 器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうちひとつ以上が高度のもの
  7. 発達障害によるものにあっては、その主症状とその他の精神神経症状が高度のもの
  8. その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1~7に準ずるもの

【2級】

  1. 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他の妄想幻覚等の異常体験があるもの
  2. 2気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、かつ、これらが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするもの
  3. 3非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2に準ずるもの
  4. 4てんかんによるものにあっては、ひんぱんに繰り返す発作又は知能障害その他の精神神経症状があるもの
  5. 5中毒精神病によるものにあっては、認知症その他の精神神経症状があるもの
  6. 6器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうちひとつ以上が中等度のもの
  7. 7発達障害によるものにあっては、その主症状が高度であり、その他の精神神経症状があるもの
  8. 8その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1~7に準ずるもの

【3級】

  1. 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくはないが、思考障害、その他の妄想・幻覚等の異常体験があるもの
  2. 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、その症状は著しくはないが、これを持続したり、ひんぱんに繰り返すもの
  3. 非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2に準ずるもの
  4. てんかんによるものにあっては、発作又は知能障害その他の精神神経症状があるもの
  5. 中毒精神病によるものにあっては、認知症は著しくはないが、その他の精神神経症状があるもの
  6. 器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、いずれも軽度のもの
  7. 発達障害によるものにあっては、その主症状とその他の精神神経症状があるもの
  8. その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1~7に準ずるもの

能力障害

【1級】

  1. 調和のとれた適切な食事摂取ができない
  2. 洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持ができない
  3. 金銭管理能力がなく、計画的で適切な買物ができない
  4. 通院・服薬を必要とするが、規則的に行うことができない
  5. 家族や知人・近隣等と適切な意思伝達ができない。協調的な対人関係を作れない
  6. 身辺の安全を保持したり、危機的状況に適切に対応できない
  7. 社会的手続をしたり、一般の公共施設を利用することができない
  8. 社会情勢や趣味・娯楽に関心がなく、文化的社会的活動に参加できない

【2級】

  1. 調和のとれた適切な食事摂取は援助なしにはできない
  2. 洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持は援助なしにはできない
  3. 金銭管理や計画的で適切な買物は援助なしにはできない
  4. 通院・服薬を必要とし、規則的に行うことは援助なしにはできない
  5. 家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりは援助なしにはできない
  6. 身辺の安全保持や危機的状況での適切な対応は援助なしにはできない
  7. 社会的手続や一般の公共施設の利用は援助なしにはできない
  8. 社会情勢や趣味・娯楽に関心が薄く、文化的社会的活動への参加は援助なしにはできない

【3級】

  1. 調和のとれた適切な食事摂取は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする
  2. 洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持は自発的に行うことができるがなお援助を必要とする
  3. 金銭管理や計画的で適切な買物はおおむねできるがなお援助を必要とする
  4. 規則的な通院・服薬はおおむねできるがなお援助を必要とする
  5. 家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりはなお十分とはいえず不安定である
  6. 身辺の安全保持や危機的状況での対応はおおむね適切であるが、なお援助を必要とする
  7. 社会的手続や一般の公共施設の利用はおおむねできるが、なお援助を必要とする
  8. 社会情勢や趣味・娯楽に関心はあり、文化的社会的活動にも参加するが、なお十分とはいえず援助を必要とする

引用元:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について|厚生労働省

障害者手帳1級だと受けられる支援・サービス

障害者手帳1級を保有していると、さまざまな支援やサービスを受けられます。

ここからは、代表的な支援・サービスを5つ紹介します。

  1. 税金控除
  2. 医療費助成
  3. 生活福祉資金
  4. NHKの受信料免除
  5. JRの運賃割引

障害者手帳2,3級でも受けられる支援・サービスについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

税金控除

障害者手帳1級を持っていると、税金の控除申請が可能です。

一例として、所得税の場合は、納税者本人や同一生計の配偶者、扶養親族が対象となり、1級に該当する場合は「特別障害者」として扱われます。

特別障害者の控除額は40万円で、納税者と同居している場合には「同居特別障害者」となり控除額は75万円に増えます。

所得税の控除は、扶養控除が適用されない16歳未満の扶養親族でも適用が可能です。

また、所得税以外にも住民税や相続税などが控除される場合もあります。

医療費助成

障害者手帳1級を持っていると、医療費助成も申請できます。

一例として、東京都の心身障害者医療費助成制度(マル障)は、心身に重い障害を持つ方の医療費負担を軽減させるために制定されました。

対象者には、身体障害者手帳1級・2級所持者(特定の内部障害に限り3級も含む)、愛の手帳1度・2度所持者、精神障害者保健福祉手帳1級所持者が含まれます。

医療保険対象の医療費や薬剤費を助成し、所得制限や他の公費医療制度の利用状況など一定条件があります。

医療費助成制度では、納税者本人や生計を一にする家族の医療費が対象となり、申告時には支払った医療費の明細書や医療機関の領収書などが必要であるため、大切に保管しておきましょう。

生活福祉資金

障害者手帳1級を持つ方が利用できる生活福祉資金貸付制度は、経済的に困難な状況にある世帯の自立と生活の安定を支援するための制度です。

市区町村の社会福祉協議会が窓口となっています。

生活福祉資金貸付制度は、特に日常生活において介護が必要な高齢者や障害者を含む世帯を対象とし、生活の維持や自立に必要な資金を貸し付けるものです。

貸付の種類には、生活の再建に必要な生活費や住宅入居費を対象とする「総合支援資金」、緊急時に必要な医療費や家賃を支援する「福祉資金」、子どもの教育費をカバーする「教育支援資金」、高齢者世帯が所有する不動産を担保に生活費を借りられる「不動産担保型生活資金」の4種類があり、それぞれの資金には異なる用途が定められています。

生活福祉資金貸付制度を利用するためには、収入状況や世帯構成に応じて審査を受けなければなりません。

また、利子に関しては、連帯保証人を立てることで無利子となる場合がありますが、保証人がいない場合でも低利子での借入が可能です。

さらに、緊急小口資金や教育支援資金などの資金は、無利子で利用できます。

具体的な申請や条件については、地域の社会福祉協議会で確認してください。

NHKの受信料免除

障害者手帳1級を所持していると、NHKの受信料が免除になることがあります。

NHKの受信料免除には、「全額免除」と「半額免除」の2種類があります。

全額免除の対象となるのは、世帯の構成員の誰かが身体障害者手帳、療育手帳(または判定書)、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持しており、なおかつ世帯全員が市町村民税非課税である場合です。

一方、半額免除の対象は、以下のいずれかの条件を満たしており、世帯主かつ受信契約者である場合に申請できます。

  • 身体障害者手帳を持つ視覚または聴覚障害者
  • 重度の障害を有する方(身体障害者手帳1級または2級、療育手帳で「最重度」または「重度」に該当、または精神障害者保健福祉手帳1級)

参照元:障害を要件とする受信料の免除について知りたい|NHK

免除を受けるためには、NHKの免除申請書に必要事項を記入し、お住まいの自治体から基準に該当する証明または確認を受けたうえで、NHKに提出してください。

なお、一部の自治体では、必要書類を用意し直接NHKへ申請する方法も選べます。

JRの運賃割引

障害者手帳1級を所持していると、JRの運賃に割引が適用されます。

JR運賃の割引制度は、身体障害者手帳または知的障害者用の手帳に「第1種」または「第2種」と記載がある場合に適用されます。

障害者手帳1級の所有者は、以下の条件で割引を受けられます。

  • 介護者と一緒に利用する場合、普通乗車券、回数乗車券、普通急行券の運賃が50%割引される(介護者も同じ条件)
  • 定期乗車券も50%割引が適用される(私鉄とJRをまたぐ区間でも適用されるが、小児定期乗車券は対象外)
  • 第1種障害者や第2種障害者が単独で利用する場合、片道100キロ以上の普通乗車券が50%割引(私鉄とJRをまたぐ区間も対象)

参照元:障害者割引制度のご案内|JR東日本

なお、割引を受けるためには、障害者手帳を持参し、乗車券購入時や係員から求められた際に提示してください。

また、手帳原本があれば代理人が割引乗車券を購入することも可能です。

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今回は、障害者手帳1級の基準や受けられる支援・サービスなどを解説しました。

障害者手帳1級を取得すると、医療費助成や交通費割引、税制優遇、公共料金減免など幅広い支援を受けられます。

まだ取得していない方は、ぜひ申請してみてください。

また、障害者に役立つ情報を取得したい方には、障害者向けコミュニティへ参加してみてください。

障害者コミュニティは、情報共有や相互支援を通じて孤立を防ぎ、共感や励ましを得られる場です。

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