コラム

社交不安障害とは?周囲に理解してもらうための伝え方も解説

2024/12/30/

社交性不安障害(SAD:social anxiety disorder)は、人前での行動や他者との交流に強い不安や恐怖を感じ、日常生活に支障をきたす精神障がいです。

国内外問わず発症が確認されています。

本記事では、社交性不安障害の概要や発症した際、周囲に理解してもらうための伝え方などを解説します。

社交性不安障害とは

「社交性不安障害(SAD:social anxiety disorder)」は、人前で話す、食事するなどの社交的な場面で過度な不安や恐怖を感じる精神障がいです。

音羽健司氏と森田正哉氏が手がけた論文では、大学病院精神科外来にて5,000人弱の患者を対象とした初心患者調査にて、社交性不安障害と診断された患者は1.04%、平均発症年齢は18.6歳であることが明らかになりました。

思春期に多い精神障がいである社交性不安障害は、「社交不安障害」や「社会不安障害」、「あがり症」などと呼ばれることもあります。

社交性不安障害は、対人関係における強い不安が特徴で、赤面恐怖やスピーチ恐怖などの症状が見られます。

社交性不安障害以外の不安障害について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

社交性不安障害の症状

社交性不安障害は、精神的症状と身体的症状が見られます。

主な症状は、以下のとおりです。

精神的症状

  • 他者から否定的に評価されることへの強い恐怖や不安
  • 人前での行動や発言に対する過度な緊張
  • 恥をかくことや拒絶されることへの強い懸念
  • 社交的な場面を避けようとする回避行動

身体的症状

  • 動悸
  • 発汗
  • 震え
  • 赤面
  • 息苦しさや呼吸困難
  • めまいや吐き気
  • 腹痛や下痢
  • 口の乾き

これらの症状は、他者から注目される状況や社会的な場面で顕著になり、日常生活や社会生活に支障をきたすことがあります。

社交性不安障害の診断基準

社交性不安障害の診断基準は、さまざまな団体が定められていますが、そのひとつが「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」です。

精神疾患の診断・統計マニュアルは、アメリカ精神医学会が作成した精神疾患の診断基準です。

国際的に広く使用されています。

1952年の初版以来、複数回の改訂を経ており、最新の第5版(DSM-5)は2013年に公表されました。

年代精神疾患の診断・統計マニュアルの名称診断基準
1968DSM-II社会恐怖の概念は明確にされていない
恐怖神経症のひとつとして社交的場面に対しての過度な恐れが指摘されている
1980DSM-III「他人の注視にさらされるような状況に対する恐れ」
「自分が恥をかいたり困惑したりするような行為を行うかもしれないという恐れ」
というような状況や行為を避けようとしても避けられなくなり、強い不安と苦
痛を抱いている
1994DSM-IV「社会恐怖」という項目に「社会不安障害」が併記された
DSM-IIIまでの記述に
特定の対人状況において症状が出現するだけでなく、ほとんどの対人状況で症状が出現する「全般型」という亜型が追加された
2013DSM-5DSM-IVまでの判断基準に加え、「他者から否定的な評価を受けることを恐れる」が追記された

参照元:社交性不安症の疫学ーその概念の変遷と歴史ー

対人恐怖症との違い

「対人恐怖症」は、人前で話す、食事するなど、他者から評価される状況に強い不安や恐怖を感じる状態です。

対人恐怖症による不安は、赤面や発汗、震えなどの身体症状を伴うことが多く、日常生活や社会生活に支障をきたすでしょう。

対人恐怖症と社交不安障害は、他者との関わりに不安を感じる点で共通していますが、医学的には社交不安障害が正式な診断名で、対人恐怖症は一般的な用語とされています。

対人恐怖症は、社交不安障害の一部として分類されることがあります。

社交性不安障害の治療法【5選】

現代では、治療技術の進歩にともない、社交性不安障害の治療法も発見されています。

ここからは、代表的な社交性不安障害の治療法を5つ紹介します。

  • 薬物療法
  • 認知行動療法
  • 森田療法
  • 暴露療法
  • マインドフルネス

薬物療法

薬物療法は、抗うつ薬や抗不安薬、抗精神病薬などを用いて、症状の緩和や安定を図る治療法です。

脳内の化学物質のバランスを整え、患者の生活の質向上を目指します。

脳内のセロトニンやノルアドレナリンのバランスを整え、不安感や緊張を軽減することで、社交不安障害の症状を和らげ、生活の質を向上させます。

認知行動療法

認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)は、物事の受け取り方や考え方(認知)に働きかけ、気持ちを楽にする治療法です。

具体的には、患者さんの感情や行動に影響をおよぼしている極端なとらえ方を治療者と患者さんが共同で確認し、より現実的で幅広いとらえ方を選択できるようにすることで、必要以上に落ち込んだり、不安になったりする不快な感情を軽くし、患者さんが本来持っている力を発揮できることを目指します。

認知行動療法は、社交不安障害の原因となる否定的な考え方や行動パターンを修正します。

不安を引き起こす状況に段階的に慣らすことで、症状を和らげ、日常生活での適応力を高められるでしょう。

森田療法

森田療法は、日本の精神科医・森田正馬(1874〜1938)によって創始された精神療法です。

患者が不安や症状をあるがままに受け入れ、日常生活に集中することで、症状への過度なとらわれから解放されることを目指します。

具体的には、患者の自発性を重視し、行動を通じて自己の体験を深めることを促します。

森田療法により、患者は不安や恐怖を抱えながらも、生活の中で必要な行動を実践し、建設的な生き方を学べるでしょう。

暴露療法

暴露療法は、患者が恐怖や不安を感じる状況や刺激に段階的に直面することで、これらの感情を軽減・克服する治療法です。

不安を引き起こす状況に段階的に直面することで、恐怖反応を弱め、不安に慣れる力を養います。

暴露療法は、社交不安障害において、回避行動を減らし、実際の場面での適応力を向上させる効果があります。

マインドフルネス

マインドフルネスとは、現在の瞬間に意識を集中し、過去や未来の思考から解放される心の状態のことです。

現在の瞬間に意識を集中し、不安や否定的な思考にとらわれない習慣を養います。

社交性不安障害を罹患した際にマインドフルネスを実施すると、過剰な心配や自己批判を和らげ、心の安定と行動の自由度を高める効果があります。

社交性不安障害を周囲に理解してもらうための伝え方【6つ】

社交性不安障害を周囲に理解してもらうことで、適切な支援や共感を得やすくなります。

しかし、自分の症状について理解してもらえずに悩んでいるという方も少なくないでしょう。

そこで、ここからは社交性不安障害を周囲に理解してもらうための伝え方を6つ紹介します。

  • 具体的な症状を伝える
  • できないことを伝える
  • どのように接してほしいか伝える
  • 信頼できる人に協力してもらう
  • パンフレットなどを使う
  • 専門家の診断や意見を加える

精神障がいを持つ人とのかかわり方について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

具体的な症状を伝える

社交性不安障害を周囲に理解してもらうために、具体的な症状を伝えましょう。

症状を明確に説明することで、単なる恥ずかしさや内気さではなく、医学的な障害であることを認識してもらえます。

また、具体性があると、周囲はどのような状況で苦しんでいるのか理解しやすくなり、適切なサポートや配慮が可能になります。

できないことを伝える

社交性不安障害を周囲に理解してもらうために、自分ができないことを伝えましょう。

できないことを具体的に共有することで、周囲は無理な要求や期待を避けやすくなり、誤解やストレスを減らせます。

また、自分の限界を明示することで、他者からの配慮やサポートを得やすくなり、安心して生活や仕事に取り組む環境を作りやすくなります。

どのように接してほしいか伝える

社交性不安障害を周囲に理解してもらうために、どのように接してほしいかを伝えましょう。

具体的な希望を共有することで、周囲はどのように配慮すればよいかが分かりやすくなり、誤解や行き違いを減らせます。

また、自分のニーズや安心できる接し方を明確にすることで、サポートや協力が得やすくなり、安心感を持って交流できる環境が整います。

信頼できる人に協力してもらう

社交性不安障害を周囲に理解してもらう際、信頼できる人に協力してもらいながら伝えるようにしましょう。

直接話すことに不安がある場合でも、代わりに説明してもらえることで負担を軽減できます。

また、第三者の視点から伝えることで、周囲はより客観的に状況を理解しやすくなり、支援や配慮を得る可能性が高まります。

パンフレットなどを使う

社交性不安障害を周囲に理解してもらうために、パンフレットなどを使って説明しましょう。

パンフレットは、障害の概要や具体的な症状、配慮のポイントを専門的で分かりやすい形で伝えられるため、誤解や偏見を減らせます。

また、文章や図解による情報提供は、口頭での説明が苦手な場合でも自分の気持ちを補足する役割を果たします。

さらに、第三者が作成した客観的な資料を使うことで、信頼性が高まり、周囲に正しく理解してもらいやすくなるでしょう。

専門家の診断や意見を加える

社交性不安障害を周囲に理解してもらうためには、専門家の診断や意見を踏まえつつ説明しましょう。

医師やカウンセラーによる診断は、障害の存在を客観的に証明し、単なる性格の問題ではないことを周囲に示します。

また、専門家の意見が加わることで、正確で信頼性の高い情報を提供でき、誤解や偏見を減らせるでしょう。

さらに、適切な対応や配慮の具体例を専門家から示してもらえるため、周囲が協力しやすくなります。

社交性不安障害に理解がある人と出会いたい方にはIRODORI

今回は、社交性不安障害の概要や発症した際、周囲に理解してもらうための伝え方などを解説しました。

社交性不安障害について周囲の人に理解してもらうことで、適切なサポートを受けられるようになります。

自身の症状を打ち明けることに対して抵抗があるかもしれませんが、親しい人から勇気を出して打ち明けてみましょう。

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