コラム

境界性パーソナリティ障がいの治療で使われるDBTとは?基本をわかりやすく解説

2026/07/06/

境界性パーソナリティ障がい(Borderline Personality Disorder:BPD)は、感情の起伏が激しかったり、人間関係が不安定になったりするなど「見捨てられるかもしれない」という強い不安を抱えやすい精神障がいです。

近年、そんな境界性パーソナリティ障がいの治療法として高い効果が期待されているのが「DBT(Dialectical Behavior Therapy:弁証法的行動療法)」です。

しかし、パーソナリティ障がいがある人の中には、DBTがどのような治療法かわからないという方も少なくないでしょう。

そこで、本コラムではDBTとはどのような治療法なのか、どんな人に向いているのか、どのようなスキルを身につけるのかについて、わかりやすく解説します。

DBTとはどのような治療法か?

DBT(Dialectical Behavior Therapy:弁証法的行動療法)とは、境界性パーソナリティ障がい(Borderline Personality Disorder:BPD)の治療のために開発された心理療法です。

境界性パーソナリティ障がいについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

DBTはアメリカの心理学者マーシャ・リネハンによって考案され、自傷行為や自殺企図、強い感情の起伏、衝動的な行動などに悩む人への治療として発展しました。

DBTでは自分を否定するのではなく、「今の自分にも価値がある」と認めながら、困りごとを改善するための具体的なスキルを身につけます。

境界性パーソナリティ障がいの人がDBTを受ける主なメリットは、以下のとおりです。

  • 感情をコントロールしやすくなる
  • 衝動的な行動を減らせる
  • 人間関係を築きやすくなる
  • 自分を受け入れやすくなる
  • 将来への希望を持ちやすくなる

感情をコントロールしやすくなる

DBTを受けることで感情の波に振り回されにくくなり、気持ちをコントロールしやすくなることが期待できます。

境界性パーソナリティ障がいのある人は、怒りや悲しみ、不安などの感情が急激に強まり、冷静な判断が難しくなることがあります。

DBTでは、自分の感情を客観的に観察し、適切に対処する方法を学ぶため、感情が高ぶった場面でも気持ちを落ち着け、冷静に行動しやすくなるでしょう。

衝動的な行動を減らせる

DBTには、自傷行為や衝動買いなどの衝動的な行動を減らす効果も期待されています。

境界性パーソナリティ障がいでは、強いストレスや不安を感じたときにそのつらさから逃れるために衝動的な行動を取ってしまうことが少なくありません。

DBTを通じて苦痛耐性スキルを身につけることで、感情が落ち着くまで適切に対処できるようになり、衝動に任せた行動を避けやすくなります。

人間関係を築きやすくなる

安定した人間関係を築きやすくなることもDBTを受けるメリットのひとつです。

境界性パーソナリティ障がいのある人は、「見捨てられるかもしれない」という不安から、相手に依存しすぎたり、反対に距離を置きすぎたりすることがあります。

DBTでは、自分の気持ちを適切に伝える方法や相手を尊重したコミュニケーションを身につけるため、より良い人間関係を維持しやすくなります。

自分を受け入れやすくなる

DBTは、自分自身を受け入れる力を育むことにもつながります。

境界性パーソナリティ障がいのある人は、自分を強く責めたり、「自分には価値がない」と感じたりすることがあります。

DBTでは、「今の自分を受け入れること」と「より良い方向へ変わること」の両方を大切にするため、少しずつ自己肯定感を高められるでしょう。

将来への希望を持ちやすくなる

DBTを継続することで、将来に対して前向きな気持ちを持ちやすくなることも期待できます。

境界性パーソナリティ障がいによる症状が続き、「このままずっと苦しいのではないか」というように将来に対して不安を抱くことも少なくありません。

DBTを通じて感情や行動への対処法を身につけることで、自分に自信が持てるようになり、「これからも少しずつ成長できる」という希望を得られます。

DBTで学ぶ4つの基本スキル

DBTでは、主に4つのスキルを身につけることで、日常生活を安定させることを目的としています。

ここからは、DBTで学ぶ4つの基本スキルについて解説します。

  • マインドフルネス
  • 苦痛耐性スキル
  • 感情抑制スキル
  • 対人関係スキル

マインドフルネス

マインドフルネスは、今この瞬間の自分の気持ちや考え、身体の状態に意識を向けるスキルです。

一例として、「怒りが湧いてきた」、「不安が強くなっている」といった感情を良い・悪いと判断せずに観察することが挙げられます。

マインドフルネスを身につけることで、感情に振り回される前に自分の状態に気づき、冷静に対応しやすくなるでしょう。

マインドフルネスは、呼吸に意識を向ける瞑想や五感を使った観察などを繰り返し実践することで、少しずつ身につけられます。

苦痛耐性スキル

苦痛耐性スキルは、強いストレスやつらい感情を安全に乗り越えるためのスキルです。

一例として、自傷行為や衝動買いをしたくなったときに、深呼吸や散歩、好きな音楽を聴くなど別の方法で気持ちを落ち着かせることが挙げられます。

苦痛耐性スキルを身につけることで、感情に任せた行動を減らし、後悔するようなできごとを減らせます。

苦痛耐性スキルは、実際の生活で自分に合った対処法を試しながら、繰り返し練習することで少しずつ習得しましょう。

感情抑制スキル

感情調整スキルは、自分の感情を理解し、適切にコントロールするためのスキルです。

一例として、怒りや悲しみ、不安などの感情が生じた原因を整理し、感情の強さや変化を客観的に振り返ることが挙げられます。

感情調整スキルを身につけることで、感情の波に振り回されにくくなり、落ち着いて判断や行動ができるようになります。

感情調整スキルは感情を記録する習慣をつけたり、睡眠や食事など生活リズムを整えたりしながら、日常生活の中で少しずつ身につけましょう。

手軽に感情を抑制する方法を知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

対人関係スキル

対人関係スキルは、自分も相手も大切にしながら良好な人間関係を築くためのスキルです。

一例として、自分の気持ちや希望を落ち着いて伝えたり、相手の立場を尊重しながら断るべきことは断ったりすることが挙げられます。

対人関係スキルを身につけることで、人間関係のトラブルを減少させ、安心して人と関われる場面が増えます。

対人関係スキルはカウンセリングやロールプレイを通して伝え方や接し方を練習し、実生活で繰り返し実践することで少しずつ身につけましょう。

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今回は、DBTとはどのような治療法なのか、どんな人に向いているのか、どのようなスキルを身につけるのかについて解説しました。

DBTは、境界性パーソナリティ障がいのある方が感情とうまく付き合い、より安定した生活を送るための心理療法です。

「感情をなくす」のではなく、「感情に振り回されない力」を身につけることを目指します。

境界性パーソナリティ障がいのある方は、DBTにより焦らず一歩ずつスキルを積み重ねることで、自分自身との付き合い方や人との関わり方を少しずつ変化させてみてください。

また、安心できる人間関係は、境界性パーソナリティ障がいのある方にとって心の安定につながる大切な支えのひとつです。

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