パニック障がいとは?初期症状や原因について解説
2024/08/27/
パニック障がいとは、精神障害のひとつです。
日本でもパニック障害を発症している方が確認されています。
本記事では、パニック障がいの初期症状や原因を紹介します。
Contents
パニック障がいとは
パニック障がいとは、突然理由もなく激しい不安や恐怖に襲われ、身体に異常な反応が生じる「パニック発作」が繰り返される精神障害です。
発作中は心臓のドキドキ、呼吸困難、めまい、胸の痛みなどの症状が現れ、10分以内にピークに達します。
パニック発作が頻発すると、「また発作が起こるのではないか」と心配する「予期不安」が生じ、外出や特定の場所を避けるなど行動が制限されることがあります。
全般性不安障害との違い
全般性不安障害とは、学校や家庭など様々なことに対して半年以上極度の不安や心配が続く精神障がいです。
疲労感や集中力低下、イライラ、筋肉の緊張、不眠などの症状が伴います。
どちらも不安障害の一種ですが、APA(アメリカ精神医学会:American Psychiatric Association)が出版した「DSM(精神障害の診断と統計マニュアル:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)-III」によって不安障害からパニック障がいと全般性不安障害へ分類されました。
パニック障がいと全般性不安障害の主な違いは、症状が出る期間です。
パニック障がいは、突然の強い不安や恐怖(パニック発作)が数分以内にピークに達し、動悸や呼吸困難などの身体症状を引き起こします。
一方、全般性不安障害は、特定の原因がないにもかかわらず、日常の様々なことに対して半年以上の長期間にわたり過度な不安や心配が続く状態を指します。
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パニック障がいの初期症状
ここからは、パニック障がいの主な初期症状を4つ紹介します。
- パニック発作
- 予期不安
- 広場恐怖
- 非発作性不定愁訴
パニック発作
パニック発作とは、突然強い不快感や恐怖に襲われ、短時間で最高潮に達する状態のことです。
日常のストレスが引き金となり、満員電車や広場などで動悸や息切れ、めまいといった自律神経症状が急激に現れます。
パニック発作が出ると、空間認知の異常により強烈な不安感や圧迫感を感じ、「死んでしまうのではないか」という恐怖感に陥ることがあります。
これらの症状は生命に危険を及ぼすものではありません。
しかし、極めて強い心理的・身体的苦痛を伴います。
予期不安
予期不安とは、過去に経験したパニック発作の強烈な恐怖から、「また発作が起きるのではないか」と常に不安を抱える状態です。
特定の場所や状況で発作が再発することを恐れ、行動を制限する原因となります。
人混みや狭い場所を避けたり、心臓発作や精神的な異常を心配したりすると、さらに不安が増大するでしょう。
予期不安は、パニック障がいの悪循環を助長し、発作の頻度を増やす要因ともなります。
広場恐怖
広場恐怖とは、発作が再び起こるのではないかという強い不安から、特定の場所や状況を避けるようになる状態です。
一例として、人混みや公共交通機関、広い空間や閉鎖的な場所など、逃げるのが難しいと感じる場面で恐怖を抱くことなどがあります。
広場恐怖が強まると、一人で外出できなくなり、家に閉じこもることが増え、日常生活に大きな支障をきたします。
非発作性不定愁訴
非発作性不定愁訴とは、パニック発作の急性期を過ぎた慢性期において、特定の発作がなくても持続的に現れる多様な身体的・精神的な症状です。
動悸、息苦しさ、視界のゆれ、汗をかく、頭痛や胸痛、疲労感、気分の落ち込み、不眠などが含まれます。
非発作性不定愁訴の症状は、発作が収まった後でも患者の生活に大きな影響を与え、慢性疲労やうつ状態を引き起こすことがあるため、継続的な治療が必要です。
パニック障がいの発症年齢
医療法人和楽会 赤坂クリニックによると、一般的なパニック障がいの発症年齢は、29歳前後です。
発症年齢は性別によって差があり、男性は28歳、女性は30歳と、男性の方がやや若年で発症する傾向があります。
パニック障がいは、35歳までに6割以上の人が発症しており、最近では発症年齢が若年化している可能性も指摘されています。
さらに、最年少の発症例としては小学校3年生の男児が記録されており、3〜4歳の幼児でもパニック発作が現れることがあるため、注意しましょう。
パニック障がいの原因
ここからは、パニック障がいの原因を4つにわけて紹介します。
- 生育環境的要因
- 心理社会的要因
- 生物学的要因
- 薬物的要因
生育環境的要因
パニック障がいの原因のひとつは、生育環境的要因です。
幼少期からアルコール依存症や薬物依存症、DV(ドメスティックバイオレンス)、共依存、HSP(敏感な気質)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの問題を抱えた環境で育った人は、これらの環境から離れて自立することで症状が改善する場合があります。
とくに、PTSDを持つ人がパニック障がいの症状を訴える場合、治療者が根本的な原因を見逃すと、治療が難しくなることがあります。
生育環境のトラウマがパニック障がいの症状を引き起こす可能性があるため、治療には生い立ちや環境要因を理解することが重要です。
心理社会的要因
心理社会的要因は、発作の直接的な原因ではないものの、パニック障がいの発症に繋がることがあります。
ストレスや過労が最初の発作を引き起こし、その後、発作が起こった状況が条件づけられることで、特定の状況を避けるようになり、最終的に広場恐怖が形成されるでしょう。
精神的なストレス、特に人間関係の問題も誘因となります。
また、過敏な性格の人や、ストレスに敏感な人は、職場や家庭での関係によりパニック発作を発症しやすい傾向があります。
とくに、結婚生活や仕事の締め切り、家族の死などがパニック障がいを発症するトリガーのひとつです。
なお、心理社会的ストレスが引き金となるものの、ストレスが解消されてもパニック障がいが治るわけではありません。
生物学的要因
パニック障がいには、脳内のノルアドレナリンとセロトニンが関係しているとされています。
ノルアドレナリンが不安感を引き起こす一方で、セロトニンはその不安を抑える働きを持っています。
セロトニンが不足したり、受容体が鈍くなると、不安感が強くなり、パニック障がいを発症してしまうでしょう。
また、セロトニンの過剰も影響を及ぼす可能性があります。
薬物的要因
パニック障がいの発症には、喫煙やカフェイン、アルコール、そして鎮静薬の影響があります。
喫煙はパニック発作のリスクを高めます。
若年時から喫煙の習慣があると、発症のリスクが増大するでしょう。
また、カフェインは覚醒作用があり、その過剰摂取はパニック発作を誘発することが知られています。
さらに、アルコールや鎮静薬を過剰に摂取すると、短期的には症状を緩和することがあります。
しかし、長期的にはパニック障がいを悪化させるでしょう。
とくに、アルコール依存やベンゾジアゼピンなどの離脱症状がパニック障がいを引き起こす場合があります。
これらの物質が脳の化学的バランスに影響を与え、パニック発作を引き起こすことがあります。
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今回は、パニック障がいの初期症状や原因を紹介しました。
パニック障害を知ることは、早期発見と適切な治療に繋がり、症状の悪化を防ぐために重要です。
また、パニック障がいへの理解を深めることで、支援や対処がしやすくなるでしょう。
精神障がい者との接し方について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
本記事を通じてパニック障がいへの理解を深めていただければ幸いです。
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