依存性パーソナリティ障がいとは?
2024/10/03/
みなさんは、依存性パーソナリティ障がいをご存知ですか?
名称からざっくりとしたイメージはできても、具体的にどのような障がいかわからないという方もいるでしょう。
本記事では、依存性パーソナリティ障がいの原因や診断基準、依存性パーソナリティ障がいを持つ方との接し方について解説します。
Contents
依存性パーソナリティ障がいとは
依存性パーソナリティ障がいとは、他者に過度に依存し、自分で決定や行動を起こすことが難しい状態を特徴とする精神障がいです。
何をするにも他人のアドバイスや承認が必要で、自ら責任を負うことを避ける傾向があります。
一般的に依存性は、幼少期や青年期には発達の一環として見られます。
しかし、成人になっても依存が強いままでは、社会的な適応に支障をきたすでしょう。
そのため、適切な治療によって、依存性パーソナリティ障がいは改善する必要があります。
境界性パーソナリティ障がいとの違い
境界性パーソナリティ障害は、感情や対人関係の極端な不安定さを特徴とする精神障がいです。
神経症状や、一過性の解離・妄想が現れることもあり、社会生活に深刻な影響を及ぼします。
境界性パーソナリティ障がいについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
依存性パーソナリティ障がいと境界性パーソナリティ障がいは、どちらも他者との関係に問題を抱えますが、その特徴は異なります。
具体的に依存性パーソナリティ障がいは、自分の決定や行動を他者に委ね、強い服従的な態度を取ります。
一方で、境界性パーソナリティ障がいは、自己像や感情が不安定です。
とくに、見捨てられる恐怖に敏感で、気分の変動が激しく、衝動的な行動や自己破壊的な行動に至ることがあります。
依存性パーソナリティ障がいの診断基準
依存性パーソナリティ障がいは、複数の機関で明確な診断基準が設けられています。
ここからは、代表的な依存性パーソナリティ障がいの診断基準を2つ紹介します。
- ICD-10
- DSM-5
依存性パーソナリティ障がい以外のパーソナリティ障がいの診断基準について知りたい方は、コラムもご覧ください。
ICD-10
ICD-10とは、世界保健機関(WHO:World Health Organization)が公表する国際疾病分類の第10版で、死因や疾病の統計を国際的に比較するための基準です。
医療機関での診療記録管理などにも活用され、疾病をアルファベットと数字で分類します。
ICD-10における依存性パーソナリティ障がいの判断基準は、他者への過度な依存と自己決定能力の欠如に基づいています。
依存性パーソナリティ障がいは、重要な生活上の決定を他人に任せ、その助言や保証なしには日常的な決断が困難であることが特徴です。
さらに、依存している人物の欲求に自分を従属させる傾向があり、自分の要求を主張することを避けます。
また、見捨てられることや一人で行動することへの恐怖から、孤独を極度に不安に感じます。
これにより、自己を無力で不完全、精力に欠けた存在と感じ、結果として他者への依存が強化されるという悪循環が生じてしまうのです。
DSM-5
DSM-5とは、米国精神医学会(APA:American Psychiatric Association)が発行する「精神疾患の診断・統計マニュアル(DMS:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の第5版です。
精神疾患の診断基準を提供し、治療や研究の共通基準として世界中で用いられています。
DSM-5における依存性パーソナリティ障がいの診断基準は、他者からの過剰な助言や保証を必要とし、自立した行動が難しいことです。
成人期早期から始まり、以下のような症状で示されます。
- 常に日常の決定を他人に頼る
- 自分の意見を表明することが困難で、他人に従属してしまう
- 他者の世話を得るために不快なことまで引き受ける
- 1人になることに対して強い不安や無力感を感じる
- 親密な関係が終わるとすぐに新たな関係を求める
依存性パーソナリティ障がいの原因
依存性パーソナリティ障がいの原因は、複数の要因が絡み合って生じると考えられています。
まず、発達心理学的視点から、子供時代の親子関係や愛着スタイルが大きな影響を与えるとされています。
不安定な愛着や過保護、過干渉な環境は、自己決定能力の欠如や他者への依存を強化する要因です。
また、遺伝的な素質も考慮されています。
家族内で受け継がれる服従的な態度や自信のなさが、障がいの発症に寄与する可能性があります。
これらに加え、うつ病や不安障がいなどの他の心理的問題による併発も注意しなければなりません。
恋愛における依存性パーソナリティ障がいの特徴
恋愛において依存性パーソナリティ障がいを持つ人は、パートナーに過度に依存し、自分で決定を下すことが難しい傾向があります。
恋愛関係においても相手に支えられたいという欲求が強く、相手の意見に従順になりやすいでしょう。
一例として、パートナーが間違っていても反論せず従うことが多く、見捨てられたくないという強い恐怖心から、相手に対して犠牲的な行動を取ることもあります。
さらに、パートナーが別離・死別すると、すぐに次の相手を探して依存しようとする傾向があります。
こうした行動は、相手から離れたくないという不安や恐怖によって強化されます。
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依存性パーソナリティ障がいを持つ人との接し方
依存性パーソナリティ障がいは、自分だけでなく家族や友人などの身近な人が罹患する可能性もあります。
ここからは、身近な人が依存性パーソナリティ障がいを持っている方に向けて依存性パーソナリティ障がいを持つ方と関わる際に意識すべきことを3つ紹介します。
- 過度に配慮しすぎない
- 正しい知識を身につける
- 専門家と連携する
依存性パーソナリティ障がい以外の精神障がいを持つ人との接し方を知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
過度に配慮しすぎない
依存性パーソナリティ障がいを持つ人は、他者の助けを過剰に求め、自分で決断や行動をすることが難しいため、他人に依存しやすい傾向があります。
周囲がその依存を許容しすぎると、本人の自立心や自己効力感が育たず、さらに依存を深めてしまうでしょう。
また、過度な配慮は、健康な境界線を曖昧にし、相手が常に助けを求める姿勢を強化してしまいます。
適度な支援を提供しつつ、相手が自分自身で考え、決断する機会を持たせましょう。
正しい知識を身につける
依存性パーソナリティ障がいについて理解せずに接すると、誤解が生じやすく、相手に対する不当な評価や差別につながることがあります。
正しい知識を身につけることで、依存的な行動がその人の意思の弱さではなく、心理的な問題によるものであることを理解できるでしょう。
また、適切な距離感や支援方法を学ぶことで、相手の自立を促しながらも過度に干渉しないバランスを取れるようになります。
結果として、相手との関係がより建設的で尊重に基づいたものとなり、互いに安心できる関係性を実現できます。
専門家と連携する
家族や友人だけで対応すると、感情的に巻き込まれやすく、相手の依存行動を助長してしまうことがあります。
専門家の指導の下で接することで、適切な距離感を保ちながら支援を提供できるようになるでしょう。
また、心理療法やカウンセリングを通じて、依存行動の根本原因にアプローチでき、当事者の自立を促す効果的な方法が提供されます。
定期的に専門家と連携し、治療の進捗を確認することで、支援者自身も適切な役割を果たしやすくなり、全体として回復に向けたプロセスがスムーズに進みます。
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今回は、依存性パーソナリティ障がいの原因や診断基準、依存性パーソナリティ障がいを持つ方との接し方について解説しました。
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それに伴い、依存性パーソナリティ障がいをはじめとした精神障がいの知識も手に入れやすくなり、従来よりも偏見がなくなりつつあります。
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