
恋愛は、多くの人にとって喜びや安らぎをもたらすものです。
しかし、同時に不安や葛藤も伴います。
とくに、境界性パーソナリティ障害(BPD:Borderline Personality Disorder)の特性を持つ方にとって、恋愛は「心が強く揺れ動く場面」がとても多いものです。
パートナーの言葉や態度に過敏に反応してしまったり、「見捨てられるのではないか」という恐怖から怒りが爆発してしまったりします。
本コラムでは、境界性パーソナリティ障害を持つ人が恋愛関係で怒りをコントロールする方法について、心理的な理解と実践的な対処法の両面から解説します。
Contents
境界性パーソナリティー障害とは?

境界性パーソナリティ障害(BPD:Borderline Personality Disorder)とは、感情や対人関係、自己イメージが極端に不安定になりやすく、強い「見捨てられ不安」や衝動的な行動が特徴的にあらわれる精神障害です。
生まれつきの気質と、育った環境の両方が影響して発症するとされています。
境界性パーソナリティー障害と類似した障害との違いは、以下のとおりです。
境界性パーソナリティ障害(BPD)
主な特徴:感情や人間関係が極端に不安定で、「見捨てられる不安」が強い
感情の変化:数時間〜数日の間に激しく変わる(短周期)
対人関係の特徴:「理想化」と「拒絶」が交互に起きる(愛憎が極端)
怒りの出方:見捨てられ不安を刺激されると爆発的に怒る
自己イメージ:自分が誰なのか分からない、自己像が揺らぐ
発症の背景:幼少期の不安定な愛着やトラウマが多い
双極性障害(躁うつ病)
主な特徴:気分の高揚(躁)と抑うつが周期的に変化する
感情の変化:数週間〜数か月単位で変化(長周期)
対人関係の特徴:気分状態によって人付き合いが変わる
怒りの出方:躁状態のとき攻撃的になることもある
自己イメージ:気分によって自信の有無が変わる
発症の背景:生物学的(遺伝・脳機能)の影響が強い
演技性パーソナリティ障害(HPD)
主な特徴:注目を浴びたい、愛されたいという強い欲求
感情の変化:外向的で感情表現が過剰になりやすい
対人関係の特徴:相手の関心を引こうと魅力的にふるまう
怒りの出方:批判に過敏に反応して感情的になることも
自己イメージ:魅力的でありたいという自己イメージ
発症の背景:幼少期の承認欲求の欠如や親の過保護
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)
主な特徴:他者の権利や社会規範を無視・軽視する傾向
感情の変化:感情は表面的で共感が乏しい
対人関係の特徴:利用・支配・搾取的な関係になりやすい
怒りの出方:他者に対する攻撃的・冷酷な怒り
自己イメージ:優越感や自己中心的なイメージ
発症の背景:幼少期からの行動障害や家庭環境
依存性パーソナリティ障害(DPD)
主な特徴:他人に依存し、見捨てられることを極度に恐れる
感情の変化:不安が強い
対人関係の特徴:他人に過剰に依存し、自主的な判断が困難
怒りの出方:怒りは表に出しにくい(相手を失うのが怖い)
自己イメージ:無力で人に頼らないと生きられないという自己像
発症の背景:養育者への過度な依存や保護過剰
なぜ境界性パーソナリティー障害があると恋愛で怒りが強く出てしまうのか?

境界性パーソナリティー障害があると、恋愛において強い怒りの感情が表れることがあります。
ここからは、境界性パーソナリティー障害の人が恋愛において強い怒りを感じる理由を3つ紹介します。
- 見捨てられることへの不安が強い
- 過去の経験がトラウマになっている
- 感情の振れ幅が大きい
見捨てられることへの不安が強い
境界性パーソナリティー障害の特性のひとつが「見捨てられることへの不安」です。
境界性パーソナリティー障害があると、親しい人が自分から離れることに対して強い恐怖感を抱いています。
一例として、以下のような恋人の行動により強い不安を抱きます。
- LINEの返信が遅い・未読のまま
- デートの予定を変更されたり、会う時間が減ったりする
- 恋人の態度がそっけない
- 恋人が異性のSNSアカウントをフォローしている
- 悩みを共有してくれない
境界性パーソナリティー障害の人が抱く焦りや不安は、「寂しい」、「愛されたい」という感情の表れでもあります。
過去の経験がトラウマになっている
境界性パーソナリティー障害の人は、感情を強く感じやすく、傷ついた記憶が心に鮮明に刻まれやすい傾向があります。
幼少期や過去の人間関係で、拒絶・裏切り・見捨てられ体験があると、恋人の何気ない言動が過去の傷を呼び覚まし、強い怒りとして再現されることがあります。
また、安心や信頼を得にくい環境で育つと、心が常に危険を察知しようと過敏になることもあります。
それにより、似た状況に出会うと当時の痛みや恐怖が一気に蘇ってしまうでしょう。
感情の振れ幅が大きい
境界性パーソナリティー障害の人は、感情を調整する脳の働きが過敏になり、刺激に強く反応してしまいます。
その一方で、他人の言葉や態度を敏感に感じ取ることで、「安心」や「不安」を抱いてしまい、他人から距離を置きたくなります。
また、自己イメージが安定しにくく、その時々の感情によって自分の価値が揺らぎやすくなることも感情の振れ幅が大きい要因のひとつです。
境界性パーソナリティー障害の人が怒りを感じたときの対処法
境界性パーソナリティー障害の人が感じる怒りは「悪い感情」ではなく、自分を守るための自然な反応です。
怒りに支配されず、上手に扱うことで境界性パーソナリティー障害と向き合えるようになります。
ここからは、境界性パーソナリティー障害の人が怒りを感じたときの対処法を3つ紹介します。
- 怒りの根源を理解する
- 一時的に物理的にも心理的にも距離を置く
- マインドフルネスを実践する
怒りの根源を理解する
境界性パーソナリティー障害の人が怒りを感じたときには、怒りの原因がどこにあるかを把握しましょう。
怒りが爆発してしまうと、冷静に判断することは困難です。
境界性パーソナリティー障害の人が感じる怒りと向き合うためには、「怒りが生まれ始めた段階」で自分の変化に気づくことが求められます。
怒りを感じ始めたときは、以下のように感情をラベリングしてみてください。
恋人が返信を返さない場合
「今、私はイライラしている」と感じたら、「怒っている」だけでなく、その原因も意識してみましょう。
友人に無視された場合
「悲しくて腹が立っている」というように、複数の感情を言葉にすることが大切です。
仕事でミスを指摘された場合
「恥ずかしいし、悔しいと感じている」と、自分の内側の感覚まで具体化してみてください。
誰かに期待を裏切られた場合
「不公平だと感じて、怒りが湧いている」と、事実と感情を区別して認識しましょう。
家族に干渉された場合
「自分の自由が奪われたようで、ムカムカしている」と、自分の価値観や境界線と結びつけてラベリングすることが効果的です。
一時的に物理的にも心理的にも距離を置く
境界性パーソナリティー障害の人が怒りを感じたときには、一時的に物理的にも心理的にも距離を置いてみましょう。
怒りに身を任せて衝動的にメッセージを送ったり、自分の考えを押し付けたりすると、恋人の関係性が悪化してしまいます。
恋人に事情を説明し、一時的に距離を置くことで、症状を回復させられます。
なお、恋人と距離を置くときは、距離を置く理由や期間の目安、連絡の可否などを事前に伝えておきましょう。
マインドフルネスを実践する
境界性パーソナリティー障害の人が怒りを感じたときには、マインドフルネスを実践してみましょう。
マインドフルネスとは、感覚や思考、感情に意識を向けて評価せずに受け入れる心の状態や実践法です。
一例として、深呼吸をしながら、「息を吸っている」、「吐いている」というように自分の呼吸に集中します。
マインドフルネスを実践することで、怒りの感情が抑えられます。
短時間でも効果があるので、すぐに実践してみてください。
精神状態をコントロールする方法について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
境界性パーソナリティ障害に理解がある人と出会いたい方にはIRODORIがおすすめ
今回は、境界性パーソナリティ障害を持つ人が恋愛関係で怒りをコントロールする方法について解説しました。
境界性パーソナリティ障害を持つ人にとって、恋愛は感情の波が激しく、時に苦しい体験でもあります。
しかし、その中で怒りの根源を理解し、上手に扱えるようになると、恋愛はもっと穏やかで、安心できるものに変わります。
自分の特性を素直に受け止めつつ、恋愛における「怒りの連鎖」から抜け出しましょう。
「障害があるから恋愛は難しい」と感じている方には、障害者の出会いを応援するマッチングアプリ「IRODORI」がおすすめです。
障害者の出会いを応援するマッチングアプリ「IRODORI」は、障害がある方と障害に理解がある方のみが在籍しているため、自身の特性をオープンにしながら友活・恋活・婚活に励めます。
また、公的証明書による本人確認や24時間365日の監視体制などを導入しているため、セキュリティ対策も万全です。
興味がある方は、カンタン無料登録で今すぐはじめてみてください!









