恋愛をしたいと思っていたとしても、なかなか一歩を踏み出せないことは誰にでもあります。
しかし、回避性パーソナリティ障害を抱えている方にとって、その「踏み出せなさ」はより深刻です。
とくに、日常生活における人間関係や自己評価の問題と強く結びついていることが多いとされています。
本コラムでは、回避性パーソナリティ障害を抱える方が恋愛に向き合う際、どのような考え方を持つといいのかや気持ちを整理するためのヒントについて解説します。
Contents
回避性パーソナリティ障害とは?
回避性パーソナリティ障害(APD:Avoidant Personality Disorder)は、強い「拒絶や批判への恐れ」と「劣等感」が特徴的な精神障害です。
Tyler J. TorricoとAmit Sapraの論文では、回避性パーソナリティ障害の有病率は約2.4%とされています。
主な特徴としては、以下のようなものがあります。
- 他者からの批判・拒絶・否定に対して過度に恐れる
- 人と関わりたい気持ちはあるが、拒絶される可能性が怖くて対人関係を避けてしまう
- 自分に対して強い劣等感や無価値感を抱く
回避性パーソナリティ障害と混同されやすい精神障害との主な違いは、以下のとおりです。
社交不安障害(社交不安症/社会不安障害)
共通点:人前での緊張や不安が強い、拒絶や恥をかくことを恐れる、人付き合いを避ける傾向がある
主な違い:社交不安障害は「特定の場面(発表、会食など)」での不安が中心なのに対し、回避性パーソナリティ障害は人格全体にわたる持続的なパターンで、対人関係全般に影響する
境界性パーソナリティ障害(BPD)
共通点:対人関係の不安定さ、見捨てられることへの強い不安
主な違い:境界性パーソナリティ障害は「感情の激しさ」、「衝動性」、「理想化とこき下ろしの両極端」が目立つのに対し、回避性パーソナリティ障害は感情表出よりも回避・引きこもり傾向が強い
依存性パーソナリティ障害
共通点:他者に受け入れてもらいたい欲求が強い、自分に自信がない
主な違い:依存性は「他人に決めてもらわないと不安」、「一人で行動できない」などの特徴があるのに対し、回避性パーソナリティ障害は「人と関わりたいが、拒絶が怖くて近づけない」という特徴がある
うつ病
共通点:自己否定感、社会的な引きこもり
主な違い:うつ病は「気分の落ち込み」、「意欲低下」が主な症状で、エピソード的に出現するのに対し、回避性パーソナリティ障害は人格的特徴として持続している
自閉スペクトラム症(ASD)
共通点:対人関係の難しさ、孤立しやすい
主な違い:ASDは「社会的コミュニケーションの困難」「こだわり」「発達上の特性」が中核なのに対し、回避性パーソナリティ障害は「拒絶への恐怖」が中心で、発達症状は必ずしも伴わない
恋愛においても「パートナーに拒絶されるのではないか」、「自分なんかが好かれるはずがない」という考えが先立ち、積極的に行動できなくなってしまうことがあります。
回避性パーソナリティ障がいについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
回避性パーソナリティ障害の人が恋愛に踏み出すためにはどうすべきか?
回避性パーソナリティ障害の方は、しばしば「自分なんかが恋愛を望んではいけない」と思い込んでしまうことがあります。
しかし、恋愛をしたい、誰かとつながりたいと願う気持ちは、人間としてとても自然なものです。
「恋愛したい」という気持ちは、あなたが人として健やかに生きたいというサインであり、自分を大切にしようとする心の表れでもあります。
恋愛に踏み出せない理由の大半は、「拒絶されたらどうしよう」という恐れです。
とくに、回避性パーソナリティ障害の方にとって、「拒絶への恐れ」は一般的な不安よりもずっと強く感じてしまいます。
ここからは、回避性パーソナリティ障害の人が恋愛に踏み出すためにやるべきことを4つ紹介します。
- 小さな一歩から始める
- 自己否定の悪循環を断ち切る
- 「弱さを共有できる関係」を目指す
- 専門的なサポートを活用する
小さな一歩から始める
回避性パーソナリティ障害の人が恋愛に踏み出すためには、できることから取り組みましょう。
いきなり「恋愛関係を築こう」とすると、大きな不安に押しつぶされてしまいます。
以下のように小さな経験を重ねていくことで、「思ったよりも大丈夫だった」という安心感が積み重なり、恋愛に向けた行動へのハードルが少しずつ下がります。
- 自分の「不安のパターン」や「避けがちな場面」をノートに書き出す
- 職場や学校で「おはよう」や「お疲れさま」と短い挨拶を続けてみる
- メッセージアプリで「ありがとう」と一言だけ送ってみる
自己否定の悪循環を断ち切る
回避性パーソナリティ障害の人が恋愛に踏み出すためには、否定的な思考のループを防ぎましょう。
回避性パーソナリティ障害の方は、どうしても「自分はダメだ」、「パートナーに迷惑をかける」といった自己否定的な思考に陥りやすくなります。
自己否定的な思考が強まると、恋愛への意欲すら奪われてしまうでしょう。
以下のような取り組みを積み重ね、「自分にも価値がある」と感じる力を少しずつ育みましょう。
- 否定的な考えに陥った時に「根拠はある?それとも思い込み?」と自問する
- ネガティブな自己評価を現実的で柔らかい表現に変える
- 日常生活の中で「できたこと」を記録する
- 他者からのフィードバックを否定せずに「ありがとう」と受け取る
- 深呼吸やマインドフルネスで思考を落ち着ける
「弱さを共有できる関係」を目指す
回避性パーソナリティ障害の人が健全な恋愛関係を育むためには、「弱さを共有できる関係」を目指しましょう。
恋愛において、パートナーに好意を持ってもらうために、弱みを見せてはいけないと感じる方は少なくありません。
しかし、「完璧な自分を見せなければ」と思うと、苦しくなってしまいます。
とくに、回避性パーソナリティ障害の方は、「パートナーに嫌われないように」と気を張り続けてしまいやすい傾向があります。
しかし、本当に安心できる関係とは、弱さを含めた自分を受け止めてもらえる関係です。
無理に飾らず、「自分は人見知りで緊張しやすいんです」と素直に伝えるだけでも、心が楽になります。
パートナーに弱さを見せることは、拒絶のリスクをともないますが、同時に「分かち合える」大切な体験にもなり得ます。
専門的なサポートを活用する
自分だけでは解決できない恋愛の悩みがある方は、専門家へ相談しましょう。
専門的なサポートを利用することは、決して恥ずかしいことではありません。
むしろ、自分の人生を前向きに歩むための有効な選択肢といえるでしょう。
心理療法やカウンセリングを通じて、考え方の癖を見直し、対人関係のトレーニングを始めることで、少しずつ「人とつながる感覚」を取り戻せます。
回避性パーソナリティ障害について相談できる機関について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
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今回は、回避性パーソナリティ障害を抱える方が恋愛に向き合う際、どのような考え方を持つといいのかや気持ちを整理するためのヒントについて解説しました。
回避性パーソナリティ障害を抱えている方にとって、恋愛は確かに大きな挑戦です。
しかし、その中には「自分を知ること」や「他者とつながる喜び」といったかけがえのない経験が待っています。
弱さを含めた自分を受け止めてもらえる関係を目指しましょう。
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