
恋愛は、多くの人にとって心を満たしてくれる大切な時間です。
しかし、演技性パーソナリティ障害(HPD:Histrionic Personality Disorder)を持つ人にとっては、愛情関係の中で特有の「寂しさ」や「不安」を感じやすい場面が少なくありません。
少しでも相手からの反応が薄いと「嫌われたのではないか」、「もう興味を持たれていないのではないか」と感じ、心がかき乱されることもあります。
本コラムでは、演技性パーソナリティ障害の方が恋愛中に感じやすい「寂しさ」の正体を解説しつつ、より安定した愛の形を築くための実践的な対処法をお伝えします。
Contents
演技性パーソナリティ障害とは?
演技性パーソナリティ障害(HPD:Histrionic Personality Disorder)とは、注目や愛情を強く求め、感情表現が過剰になりやすい精神障害です。
周囲の関心を引こうと、派手な言動や魅力的な振る舞いを見せる一方で、感情が浅く移り変わりやすく、人間関係が不安定になりやすい傾向があります。
パーソナリティー障害にはさまざまな種類がありますが、代表的なパーソナリティー障害との違いは、以下のとおりです。
演技性パーソナリティ障害(HPD)
主な特徴: 注目や賞賛を強く求め、感情表現が誇張的で演技的
他者との関わり方: 関心を引くために魅力的に振る舞う
感情の特徴: 感情が浅く、移り変わりやすい
対人関係での典型的な行動: ドラマチックな言動で注目を集める
根底にある欲求: 愛情・注目・承認を得たい
人間関係の特徴: 社交的で魅力的だが不安定
境界性パーソナリティ障害(BPD)
主な特徴: 見捨てられ不安が強く、感情の起伏が激しい
他者との関わり方: 他者に強く依存し、拒絶されると怒りや絶望を示す
感情の特徴: 激しい感情の波と空虚感
対人関係での典型的な行動: 相手を理想化→失望→怒りと極端な反応
演技性パーソナリティ障害との主な違い: 感情がより極端で関係が破綻しやすい
根底にある欲求: 捨てられたくない・孤独が怖い
人間関係の特徴: 激しく依存と拒絶を繰り返す
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)
主な特徴: 自分を特別視し、称賛を求める
他者との関わり方: 他者を利用し、共感が乏しい
感情の特徴: 自尊心が脆く、批判に過敏
対人関係での典型的な行動: 他人を支配・軽視して優位に立とうとする
演技性パーソナリティ障害との主な違い: 優越感や支配欲が中心で、感情表現は控えめ
根底にある欲求: 尊敬されたい・優位でいたい
人間関係の特徴: 支配的で一方的になりやすい
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)
主な特徴: 他者の権利や社会規範を無視する
他者との関わり方: 利用・操作・支配的
感情の特徴: 感情が乏しく、罪悪感が少ない
対人関係での典型的な行動: 嘘や操作、攻撃的行動を繰り返す
演技性パーソナリティ障害との主な違い: 冷淡・計算的で感情的な魅力は少ない
根底にある欲求: 自己利益の追求
人間関係の特徴: 冷淡で罪悪感が乏しい
依存性パーソナリティ障害(DPD)
主な特徴: 他者への過剰な依存と服従的態度
他者との関わり方: 拒絶を恐れ、常に支えを求める
感情の特徴: 不安が強く、自立への恐れがある
対人関係での典型的な行動: 相手の意見に従いすぎる
演技性パーソナリティ障害との主な違い: 拒絶を避けるために従順になる
根底にある欲求: 支え・保護を受けたい
人間関係の特徴: 相手に従順で自分を犠牲にしやすい
演技性パーソナリティ障害の人が「寂しさ」を感じるメカニズム

演技性パーソナリティー障害の人は、恋愛において「寂しさ」を感じやすい傾向があります。
ここからは、演技性パーソナリティ障害の人が「寂しさ」を感じるメカニズムを4つのステップにわけて紹介します。
- 恋人の反応が冷たいと感じる
- 「愛されていない」と不安になる
- 不安を埋めるために恋人の気を引こうとする
- 恋人が距離を置き始める
恋人の反応が冷たいと感じる
演技性パーソナリティ障害の人は、恋人の愛情表現を自分の価値や存在意義の証と考えているため、「反応が減ること=愛情が減った」と結びつけてしまいます。
そのため、相手の感情にとても敏感で、少しの無反応や素っ気なさを「冷たい」と感じることも少なくありません。
また、恋人の態度に対して都合や疲労といった客観的な理由よりも、「自分が何か悪いことをしたのでは」と自己責任的に受け止めることもあります。
「愛されていない」と不安になる
演技性パーソナリティ障害の人にとって、他者からの愛情や注目は「心の安定剤」のような役割です。
そのため、恋人の反応が冷たいと感じると、自己価値が大きく揺らぎ、強い寂しさや見捨てられ不安が湧き上がります。
強い不安や寂しさを抱くと、頭では冷静に考えようとしても感情が先に反応してしまうため、不安のコントロールが難しくなります。
不安を埋めるために恋人の気を引こうとする
「愛されていない」という不安が長期間続くと、「もっと私を見てほしい」、「構ってほしい」という衝動が強まります。
その結果、過剰なメッセージを送ったり、涙や怒りで反応を引き出そうとしたりします。
演技性パーソナリティー障害の人が恋人の気を引こうする行動は、意図的なものではありません。
しかし、恋人は「感情的すぎる」または「重たい」と感じてしまいます。
恋人が距離を置き始める
相手が演技性パーソナリティー障害特有の圧力を感じると、少し距離を取ろうとしてしまいます。
恋人が距離を置き始めるのは、演技性パーソナリティー障害の人に見られる感情の波に巻き込まれたくない・落ち着いて考えたいという自然な防衛反応です。
しかし、演技性パーソナリティ障害の人は、この距離を「拒絶」と感じやすいため、さらなる不安や孤独が引き起こされます。
このような沈黙や距離感が「愛情の喪失」と結びつくことで、感情的な痛みがさらに強まります。
演技性パーソナリティ障害の人が寂しさを感じたときの対処法

演技性パーソナリティー障害の人が感じやすい「寂しさ」は、言動を見直すことで改善できます。
ここからは、演技性パーソナリティ障害の人が寂しさを感じたときの対処法を3つ紹介します。
- 「寂しい」と感じた自分を責めない
- 「愛されたい」気持ちを行動に変換する
- 恋人に「どうしてほしいか」をやさしく伝える
「寂しい」と感じた自分を責めない
演技性パーソナリティ障害の人が寂しさを感じたときは、「寂しい」と思った自分を責めずに受け入れましょう。
寂しさを感じるのは、誰かを大切にしたい気持ちや、愛情に敏感である証拠です。
寂しさを感じている自分を否定すると、かえって孤独感が強まってしまいます。
感情を責めるのではなく、自分のことを理解するように努めましょう。
自己肯定感を高める方法について知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
「愛されたい」気持ちを行動に変換する
演技性パーソナリティ障害の人が寂しさを感じたときは、「愛されたい」という気持ちを前向きな行動に変えてみましょう。
感情を相手にぶつけるよりも、自分を整える行動に変えることで心が安定します。
また、自分を満たす時間は、他人への依存を減らし、余裕を取り戻す助けになります。
それにより、恋人へ過度に期待しすぎないようになるため、より健やかな関係を築けるでしょう。
恋人に「どうしてほしいか」をやさしく伝える
演技性パーソナリティ障害の人が寂しさを感じたときは、「どうしてほしいか」をやさしく伝えてみましょう。
気持ちを我慢すると、後で怒りや涙となってあふれてしまいます。
「少し話を聞いてほしい」や「ハグしてもらえると安心する」など、自分の考えを具体的に伝えると、相手も理解しやすくなります。
感情を共有することで、信頼関係を深めましょう。
恋人から障害のことを打ち明けられたときにすべきことについて知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
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今回は、演技性パーソナリティ障害の方が安定した愛の形を築くための実践的な対処法について解説しました。
演技性パーソナリティ障害の人にとって「寂しさ」は、とても身近で強い感情です。
しかし、そんな「寂しさ」は「弱さ」ではなく、「人を大切にできる力」の裏返しでもあります。
寂しさを自分で受け止め、安心できる方法でケアできるようになりましょう。
恋愛において重要なことは、愛されるために無理するのではなく、ありのままのあなたが愛される関係を少しずつ築くことです。
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