
恋愛において「相手を信じること」は、多くの人にとって簡単なことではありません。
とくに、妄想性パーソナリティ障害(PPD:Paranoid Personality Disorder)を抱える人にとって、信頼は特に大きなテーマです。
一例として、恋人の言葉や行動の裏を読みすぎてしまったり、「裏切られるのでは」「本当は自分をバカにしているのでは」と感じやすかったりするため、恋愛関係を続けること自体がとても難しく感じられます。
本コラムでは、妄想性パーソナリティ障害を持つ方が恋愛で信頼関係を築くうえでの考え方と実践的な工夫を解説します。
Contents
妄想性パーソナリティ障害とは?
妄想性パーソナリティ障害(PPD:Paranoid Personality Disorder)は、他者への根深い不信感や警戒心が表れるパーソナリティー障害です。
日常のささいな言葉や態度に対しても「攻撃された」、「裏がある」と感じ、他人を信用しにくくなります。
他のパーソナリティー障害とは以下のような違いがあります。
妄想性パーソナリティ障害(PPD)
- 主な特徴:他者への強い不信感・被害的な思考
- 感情の特徴:不安・怒り・猜疑心が強い
- 自己イメージ:「自分は裏切られやすい」「常に用心すべき」
- 他人への認識の仕方:他人の行動に悪意や陰謀を見やすい
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)
- 主な特徴:自分を特別視・賞賛への強い欲求
- 感情の特徴:傲慢さの裏に脆さ・承認欲求の強さ
- 自己イメージ:「自分は特別」「他人は称えるべき」
- 他人への認識の仕方:他人を評価や賞賛の対象として見る
境界性パーソナリティ障害(BPD)
- 主な特徴:感情の不安定さ・見捨てられ不安
- 感情の特徴:感情が激しく変化・衝動的
- 自己イメージ:「自分には価値がない」
- 他人への認識の仕方:他人を「完全に良い/悪い」で分ける
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)
- 主な特徴:他者の権利を無視・罪悪感の欠如
- 感情の特徴:冷淡・衝動的・攻撃的
- 自己イメージ:「自分は自由であるべき」
- 他人への認識の仕方:他人を利用価値で判断
回避性パーソナリティ障害(AvPD)
- 主な特徴:批判や拒絶への極端な恐れ
- 感情の特徴:不安・自己否定が強い
- 自己イメージ:「自分は劣っている」
- 他人への認識の仕方:他人を「自分を拒む存在」と感じやすい
強迫性パーソナリティ障害(OCPD)
- 主な特徴:完璧主義・秩序とルールへのこだわり
- 感情の特徴:焦燥・緊張・苛立ち
- 自己イメージ:「間違ってはいけない」
- 他人への認識の仕方:他人を「きちんとすべき人」として見る
恋愛における妄想性パーソナリティ障害を持つ人の特徴

妄想性パーソナリティー障害は、仕事や私生活だけでなく、恋愛にも影響を及ぼします。
ここからは、恋愛における妄想性パーソナリティ障害を持つ人の特徴を5つ紹介します。
- 恋人の言動を過剰に疑う
- 信頼関係を築くのが難しい
- 過去の経験を強く引きずる
- 自己防衛のために距離を置く
- 攻撃的な態度を取ってしまう
恋人の言動を過剰に疑う
妄想性パーソナリティー障害の人は、恋人の言動を過剰に疑うことがあります。
恋人の言動を過剰に疑ってしまう理由のひとつは、「相手に裏切られるかもしれない」という強い不安が根底にあることです。
妄想性パーソナリティー障害の人は、他人の意図を悪く解釈しやすい傾向があります。
そのため、恋人の何気ない言葉や行動も、攻撃や否定のサインだと感じることも少なくありません。
このように、妄想性パーソナリティー障害の人は、恋人の愛情を信じたい気持ちがありながらも、疑いが先に浮かんでしまいます。
信頼関係を築くのが難しい
妄想性パーソナリティー障害の人は、好意がある人と親密になるのが苦手です。
信頼関係を築くのが難しいのは、人を信じること自体が強い不安や警戒心を呼び起こすからです。
妄想性パーソナリティー障害の人は、他人の意図を疑い、裏の意味を読み取りやすい傾向があります。
そのため、恋人の言葉や行動を素直に受け取ることが苦手です。
さらに、一度でも裏切られたと感じると、その記憶が強く残ってしまいます。
結果として、恋人を信頼しようとする気持ちよりも、「また傷つくかもしれない」という恐れが前に出てしまいます。
過去の経験を強く引きずる
妄想性パーソナリティー障害の人は、過去のトラウマが原因で好意がある人と親しくなれないことがあります。
過去の経験を強く引きずるのは、過去の出来事を「再び起こるかもしれない危険」として記憶してしまうからです。
妄想性パーソナリティー障害の人は、他人への不信や警戒が強く、傷ついた体験を忘れにくい傾向があります。
また、心の中でその出来事を繰り返し思い出し、次の人間関係でも同じ場面を重ねることも少なくありません。
そのため、過去の痛みが現在の判断や感情に深く影響を及ぼしてしまいます。
自己防衛のために距離を置く
妄想性パーソナリティー障害の人は、信頼関係を構築しているのにもかかわらず、恋人と距離を置くことがあります。
自己防衛のために距離を置くのは、人との関わりが不安や疑念を引き起こしやすいからです。
妄想性パーソナリティー障害の人は、他人の意図を疑い、「近づくと傷つくかもしれない」と感じやすい傾向があります。
それにより、相手の言動を深読みしてしまい、近い関係ほど心が疲れやすくなります。
攻撃的な態度を取ってしまう
妄想性パーソナリティー障害の人は、恋人に対して攻撃的な態度を取ってしまうことがあります。
攻撃的な態度を取ってしまうのは、自分を守るための防衛反応が強く働くからです。
妄想性パーソナリティー障害の人は、他人の言葉や表情に隠れた悪意を感じやすい傾向があります。
その結果、相手に傷つけられる前に先手を打とうとする気持ちが生まれます。
とくに、自分を守る意識が高いほど、周囲には強い警戒心や反発として伝わってしまうでしょう。
妄想性パーソナリティ障害の人が恋愛で信頼関係を築くためにやるべきこと

妄想性パーソナリティー障害があるからといって、恋愛できないわけではありません。
ここからは、妄想性パーソナリティ障害の人が恋愛で信頼関係を築くためにやるべきことを3つ紹介します。
- 「事実」を素直に受け止められるようになる
- 恋人の立場を考える
- 専門家のサポートを活用する
「事実」を素直に受け止められるようになる
「事実」を素直に受け止められるようになることは、恋人との信頼関係を安定させるために欠かせません。
妄想性パーソナリティー障害の人は、相手の言葉や行動に隠された意図を探してしまいます。
また、事実よりも「こう思っているに違いない」という解釈が強くなると、誤解が生まれやすくなるでしょう。
それにより、相手の本心を正しく理解できないまま、不信感だけが大きくなります。
事実をそのまま受け止めることで、恋人を敵ではなく味方として受け入れられるようになりましょう。
恋人の立場を考える
恋人の立場を考えることは、互いの誤解を減らし、信頼関係を深めるために欠かせません。
妄想性パーソナリティー障害の人は、自分が傷つくことを恐れるあまり、恋人の意図を疑ってしまう傾向があります。
しかし、相手にも不安や戸惑いがあると理解できると、関係の見え方が変わります。
相手の視点を意識することで、健全な関係性を育みましょう。
専門家のサポートを活用する
恋人との関係を安定させるためには、専門家のサポートを活用しましょう。
妄想性パーソナリティー障害の人は、自分の考え方や感じ方の傾向に気づきにくいことがあります。
専門家に相談することで、客観的な視点から思考のクセや誤解を整理する手助けを提供してくれるでしょう。
また、恋人との関係で起きやすい不安や疑念への対処法を、一緒に見つけてくれます。
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今回は、妄想性パーソナリティ障害を持つ方が恋愛で信頼関係を築くうえでの考え方と実践的な工夫について解説しました。
妄想性パーソナリティ障害を持つ人にとって、恋愛は「信頼」と「恐れ」がせめぎ合う体験です。
信頼とは恋人を完璧に信じることではなく、「信じる練習」を続けることが求められます。
少しずつ、安心できる人・理解してくれる人と関わりながら、自分のペースで関係を築きましょう。
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